何度でも何度でも

初めて会う外国の方に着付けをしてますが、人気のある着物は何回も何回も着せ、繰り返し繰り返し同じことしているのに、なかなか完璧に決まりません。どこかが変でも直す時間がないからそのまま突き進みます。なんとかかんとかまとめて四人そろえたら柴又へ繰り出します。多少のことは目をつぶって前に進むのですが、これまでで一番うまく着付けができたのは初めてのゲスト、チリのアンドレアでしたが、電車乗って柴又行った時誰も見てくれなかったのはなんでだろうと、本人も私も思ってました。

いかにも南米の方が好みそうな黄色に赤い花が咲いている鮮やかな中振袖にかんざしを挿した姿は浮いてしまっていたのでしょうか。

反対にとにかく見られまくったのがこのポウルくん。ママの付き添いで来たけどあまりに退屈そうなので、じゃあ着物着せちゃおう、帽子かぶせちゃおう、髪の毛にワックス付けちゃおう、と私は着付けに忙殺されている間にみんなにいじられまくってポウルはこんなになり、シャイなのにまんざらでもないみたいで、ママは大笑いしてました。主人は居合刀で遊ばせているし、折り紙おしえてくださるかたもいて、物凄く和やかでアットホームな午後になっていました。

後ろにうつっているママは186㎝90㌔(失礼)いっぱい一杯の着付けで座るとはだけるけど立てばきれいでした。

様々な国から様々なルーツを持った外国人がきます。さまざまな肌の色、骨格、肉の付き方、色とりどりのタトゥー。肌襦袢、腰巻、補正タオル、伊達締め、帯板、選んでくれた着物、帯、帯締め、帯揚げを使って、いつものように着付けます。時々、これは総額いくらになるか考えます。ふふふ、50万くらいかしら?これが東風の着付けです。日本の伝統、技術、アイデンティティに誇りをもって、いつも同じように着せられる様何度でも何度でも着付けを繰り返していきます。