ベトナムからのプレゼント

エアビーの仕事を始めて三回目のお客様はベトナムからの美しい母娘でした。二月の寒い日で雪もチラつき、最悪のコンディションでしたが、私の体験サイトを作って下さったホストの健太さんと、今は介護スタッフをしていますが美容師のマリ子さんと必死で着付けし頭を結い上げ、帝釈天と山本亭を案内し、写真を撮り帰って来て着物プレゼントという行程を無事こなしました。

着物のサイズの選択を間違え、ママに小さな着物を着せてしまったし、綺麗な娘さんたちは二人とも振袖を着たいというし、もうバタバタでしたし、介護の合間を縫って一時間で三人の頭を仕上げたマリ子さんは、30点の出来だといって嘆いていましたが、綺麗な雨ゴートを着てミンクや白いショールを掛け帝釈天や柴又の参道を歩く彼女たちは本当にきれいでした。

そしてあれから三カ月たって、突然彼女たちから私たち三人へ、美しいアオザイとビーズのバッグとレリーフが、丁寧な手紙とともに送られてきました。えーっ、これすごい高価なものではありませんか!確かママはアオザイを作っている会社を経営してるといってましたが、私にピッタリのアオザイを選んでくださいました。

あの時のこと思い出します。次女のKhietはクールビューティーな女の子だけれど自分の行く道を探している最中で、可愛い三女とお嫁に行った長女に挟まれ、ちょっと大変そうでした。傘さして参道歩きながらいろんな話をしました。健太さんの控え目で適切なホスティングがあって、最悪のコンディションながらママはたくさん写真を撮っていたし、別れる時もとても名残惜しそうにしてくれました。

欠けているところだらけだったけれど今思うと、私達三人無私で無欲でその時にできる最善をつくしました。彼女たちは雨ゴート着ていても、傘さしていても綺麗に佇んでいた、これが私の体験の原点でした。

今は残念ながら方向も形も変わってしまい、邪心が立ち込めている気がしてなりません。進歩できないで、後戻りしているし、醸し出すものがなくなってきている、これではいけないと思っている時、久しぶりに健太さんに同行してもらいゲストとのコミュニケーションの原点を教えていただきほっとしました。自分の心に忠実に、そっと進んでいきたいと思います。健太さん、マリ子さんありがとうございました。