多国籍の21エイジたち

 このところ猛暑が続くので、うちで着物を着て写真撮ってティーセレモニ-してから、脱いで着物プレゼントして柴又散策をラストにするというパターンにしています。参道の方々は外国人が着物を着ているというのがいいようですが、気分悪くなっても困るので、歩く距離も短くして帝釈様のお庭と彫刻をメインに見学していただきます。

 今日のゲストはスイスからマリアが、オーストラリアからはインドネシアとベトナムのオリジンの彼とイギリスと中国のオリジンの彼女のカップル、カリフォルニアから女の子一人、全員21歳でした。

マリアはお母さんがロシア人で、ドイツ語ロシア語英語を話す医学生、キックボクシングをする活発な彼女は浴衣着て刀持ったり、娘の弓矢を持ったり、そして柴又ではフクロウ(ミミズク?)を連れた方に会って、腕に止まらせてもらったりしていました。

この仕事始めて五カ月、200人以上の外国人に着物着せて柴又散策してます。みんな素敵な方々ですが、時々ズンと魂が魅かれるような会話をすることがあります。どんな英語しゃべっているのか記憶もないのですが、内容だけがわかって心で話していることだけわかるのです。ルクセンブルクのアニータ、メキシコの女の子、ひょろひょろしたピーター、通じそうでどうしても通じなかったのはスコットランドのエンマ、アメリカのケイシー、英語の問題でなく、多分心の問題でした。

このスイスのマリアは帝釈天で竜の彫刻見ていて、「これは阿吽の竜でしょ?」と言い出したことにまず驚き、物乞いをするような奈良の鹿は嫌だとか、妙法蓮華経の彫刻の中に竜女成仏の図の解説を読んでいて、8歳の女の子でも成仏できるんだといったり、反応が特殊でした。マリアはカトリックとロシア正教の教えを受けていたらしいのですが、このお経の中の8歳の竜王の娘さんは智慧がすぐれ利発で弁舌さわやか、多くの教えに通達し最高の悟りを求める帰依の心、真心、智慧の宝珠を仏に献上して、それを仏はお受け取りになったことをすごいというこの感覚は、彼女自身が竜王の娘さんなんじゃないかと思ったりしています。

 そういえば、中国のオリジンでカナダに住んでいるゾアが、竜が口にくわえている宝珠はどんな意味があるのかと聞かれ、慌ててお坊さんに聞いたこともありました。日本人の私がなんの引っ掛かりもなくスルーしてしまう事柄を、いろんな国の方々が様々な感覚で受け止めて、自分の中で消化して発展させていることがわかってきた気がします。

 そして最後にマリアの手に止まった梟のふくちゃんは、何とオーストラリア生まれ、何と多国籍な出会いなのでしょう!