日本の文化とは

時々外国から来たゲストが「私は日本文化に興味がある」ということがある。古い私は、能や歌舞伎や仏像、美術館や博物館の資料など見せて、これが日本文化のエッセンスというのだが、若い外国人はピンとこないようだ。

最近とみに若い世代のカップルのゲストが増えてきて、アニメや漫画、秋葉原、フィギュア、メイドカフェ、そして宮崎ジブリといったところがやっと共通となる話題である。ナルト、ワンピース、ドラゴンボール、進撃の巨人、デスノート、そして君の名は。

帝釈様の廊下で歌舞伎の六方を踏んでいるゲストがいて、聞いたら漫画のワンシーンにあったとのこと、すごい影響力だ。おとといテレビで松本幸四郎、市川染五郎の襲名披露で叔父の吉右衛門と勧進帳を演じているのを見ていて、最後弁慶が六方踏んで花道を駆け抜けていくのをもしあのゲストが見ていたら何というのだろう、感動するのではないかと思った。

「二つ目の窓から」という河瀨直美監督の映画のスピリチュアルなサウンドが好きだといったロシアの男性がいた。宮崎ジブリ、特に千と千尋の神隠し(spirited away)やハウルの動く城は来るゲストみんな好きだ。言葉を越えた日本の感性、感覚、感動が文化なのだろうか。

今は夏なので浴衣を着ていただくが、半幅帯か、フォーマルな夏帯に帯揚げ帯締めを締めるか、どちらかを自分で決めて選んでもらっている。いろんな方からいただいた高価で素晴らしい沢山の夏帯、繊細な模様の様々な材質の帯揚げ、帯締め、正直みな一万円以上するものだ。

着物触るのも着るのも初めての彼女らはたくさんの中から一生懸命選んで一式私のところへもってくる。すごいチョイス!京都のひで也工房の浴衣に鹿と紅葉の模様の渋い紫の夏帯、絞りの薄い帯揚げに金線の入った紺の帯締め、これが日本の文化なのだ。細かい説明もできないんだけど、彼女たちの審美眼もすごいものだ。長いこと箪笥の中に眠っていた日本の文化の結晶が、青い目のブロンドの女の子に選ばれて、まとわれる。

 

全て終わって皆帰った後、着物や小物を干してアイロンかけているとほのかに彼女らの香りが漂う。日本の文化の新しい発酵。