世界は難しい

 昨日のお客様はニューヨークから来たチベットの女性二人と、中国人の背の高い教師をしている女性でした。ゲストのoriginはうちにいらして聞いて初めてわかります。

スマホでチベットの衣装や家族の写真見せてくれたTashiは紫の単衣にどの帯締めや帯揚げ合わせるか真剣に考え、長い髪もアップでない方が若く見えると試行錯誤し、すべて自分で決められない中国の先生も相手していた主人が根を上げるほど長考で、お茶もする時間なくなりとにかくやっと柴又に出かけました。

 足袋履いて白い襟を付けて浴衣着せたので、少しフォーマルっぽく9月らしくなりました。いろいろな国の外国人に慣れている柴又のお店のお姉さんがチベットは初めてだとびっくりして挨拶の言葉とかTashiから習ったり、境内でお守り選んでいる時写真撮らせてと参詣の方に頼まれたり、途中で焼き鳥や日本酒アイス食べたり、なんだかいろいろ時間かかってしまって帝釈様の彫刻は見られなかったのですが、本堂でお詣りした時、仏教徒のTashiがチベットの仏像は破壊されたと言ったことが気になりながら聞き流してしまっていました。

 帰る時のゲストの挨拶は、結構お国によって熱さが違うのですが、中国の方はかなりあっさりしているか心から感激しているかに分かれます。今回の先生は両親も先生で一人っ子だしこの旅行も一人で来たこともあり、私と主人のバタバタしたもてなしが面白かったようで、日本の伝統的な家庭を見れて良かったと言ってくれました。

 チベットの彼女たちは私が主人をこき使って?いるのを見て、主人に給料を払っているのかと聞いてきて、多分チベットでは男性の地位は高いのかもしれず少し反省しましたが、これまで何十年も主人に尽くしてきたのだから大丈夫と答えておきました。(何が大丈夫なんだろうか)

 ただ帰る時の温度差が予測してないことで、先に熱烈ハグで別れた先生がいなくなった後、一足遅れてTashi達はそそくさと目も合わせず帰って行きました。あーっ、やってしまった。

 着物着て柴又散策しお団子やアイスや焼き鳥をシェアしあった時間は、着物を脱いで髪をほぐし素に戻った時、もとに戻ったのです、多分。シンデレラのように、それぞれの現実やこれからの事態が蘇ってくるのでしょうか。みんないろんなものを抱えている。これから何が起こるかわからない世界の現実。政治、外交。私の知っている限りのことがフラッシュバックしてきました。甘っちょろい自己満足で終わらせることの愚かさ。何をやっているんだろう、私は。

 ニューヨークに暮らし、日本旅行を楽しむ彼女らはチベットの中でも裕福で、恵まれているのでしょう。うすうすは中国がチベットに与えている弾圧を知ってはいましたが、改めていろいろ調べてみて、何もしらないということがひたすら情けなく、申し訳ない思いです。別に誰が悪い訳ではない、だけどやっぱり大変なことだと思います。

 イギリスから来たエンマのレヴューの言葉を思い出します。「レンタル着物やとしてはユニークだけど、もう一息」

一息どころの話ではありません。   ごめんなさい。Tashi.