由井正雪のような

 

 今日はアメリカのケンタッキーからの若い夫婦と中国の女性の3人のゲストでした。若い旦那さんの髪がとても長くて由井正雪のようで、一瞬ポニーテールかチョンマゲにしようかしらと思ったけれど、髪の毛には触らせないぞ的なオーラがあるし、内気で不安気ででも綺麗な目をしている不思議な感じのする男性でした。はっきりしたちょっときつめな奥様はとても早口のアメリカ英語、半分も聞き取れずどうしようと思いつつほかのゲスト着付けしていたら、手伝ってくれているうちの主人と着物選び帯揚げ帯締めの色をコーディネートして、笑いながら仲良く会話していました。私達そんなにしゃべれるわけでもなく、聞き取りも不完全だけど、昨夜来た彼女のレビューにThe hosts were nice and spoke English well.とあってふたりでびっくりしました。会話とは心でするものだとつくづく思います。

 

 柴又では明日帰る中国の女の子がお土産買う気満々でいろいろなお店に入るので、つられてみんなで試食したり、日本酒アイスや焼き鳥食べたり、5時近くまで着物で過ごし、家へ戻って着物を脱いでシンデレラはお姫様から普通の女の子にもどりました。

 アメリカの奥様は写真撮るといつも硬い表情でいろいろ問題抱えている気がしましたが、柴又の彫刻ブースで彼女は10枚ある蓮華経の彫刻板の解説をずっと読んでいました。何か抱えていると思うタイプの女性は今までも何人かいました。私もしっかり抱えています。

 漠然とした不安、若い時好きだった芥川龍之介の言葉です。彼は30代で死んでしまったけど、今愛読している村上春樹やカズオ・イシグロは60代で前へ前へ進んでいるしうちに来る外国人の中にも愛読者は多いのですが、こういう話は日本人とすることがあまりなくて、外国人のゲストとしているというのも面白いものです。文化とか教養、知識というのは絵空事ではなく生きるすべであり、歴史や軸であるし、着物文化もその一つの様な気がします。

 明日はかなり高身長で高体重?の4人がいらっしゃいます。さあ、大きい着物たちを並べておきましょう。