ヘルシンキから愛を込めて

 昨日のゲストははフィンランドから大柄な看護師さんと、交換留学で東洋大学で勉強している小柄な女性のペアと、イタリアからの大学生二人の四人でした。オール女性、袷で訪問着という久しぶりのハードな着付け、さすがにヘアまで手が回らず、みんなで助け合って結ってもらいましたが、仲良くやっていて笑い声が聞こえ、まずほっとします。訪問着や色無地に袋帯締めて四人並ぶと壮観で、帝釈様で写真撮っていたら観光に来ていたグループから拍手がわき、その中の男性二人が生まれて初めてだからぜひ一緒に外国人と写真撮りたいと言われたり、七五三の女の子と一緒に写真撮ったり、自分たちでもたくさん写真撮影してました。

 大学で日本語勉強しているジェノバから来たオルガは鮮やかな青磁色の一つ紋の色無地にペルシャ吉祥模様の袋帯締めて、これは結婚式参列衣装よと説明しながら、よくこの着物選んだな、さすがイタリアと感心していました。ゲストの身長や体重を聞いているので、あらかじめ十枚くらい合いそうなのを出しておくのですが、だんだんみんな棚の中のも探してとことんベストフィットを選び出します。日本人の感覚とは違うし、趣味や育ちもあって、帯揚げ帯締めの選択はみんな違っていてほんとに面白い。

 村上春樹の小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」にフィンランドを旅行するシーンがあるのと、最近フィギアスケートの試合をヘルシンキでよくやるので、フィンランドの看護師さんエミリアに着付けしながらお国の話いろいろ聞きました。彼女は小さい頃から着物を着ることが夢だったそうで、引き茶色で紅型模様の小紋に紅葉のオレンジの帯締めて自分でアップした髪にかんざし挿してふっくらきれいでした。

 もう一人の小柄なティーナは早口であまり笑わないタイプだったけれど梅酒が好きというので、日本人の着付けのお客様から戴いた石垣島の特選梅酒を帰り際に出してみんなで乾杯、美味しーいとティーナは二杯飲みました。

 イタリアのアレキサンドラは愛くるしいおとなしい女の子で、趣味はミュージカルの歌を歌うこと、丁度BGMでレ・ミゼラブルの「夢 破れて」をかけていたらとても喜んで一緒に口ずさんでいました。オルガはオペラハウスで働いてるとか、時々日本人が着物着てくることもあるそうで、そこでうちのBGMが「誰も寝てはならぬ」だったりして、まあよく都合よく流れてきたものです。

この前来たイタリアの新婚カップルがイタリアの経済は最悪で、アフリカ系の移民が働かずドラッグを持ち込んだりするから治安も悪いと嘆いていたし、春にきたイタリア人のパパはフィンランドの女医さんと結婚してフィンランドに住んでいたし、いろいろ世界は流動的です。

 最後hour-glass (砂時計)体型ー自分でそう書いてきたのですーのエミリアとハグしたら私とぴったりフィットして心地よく、フィンランドにおいでと囁かれ、来月フィギアスケートの試合がヘルシンキであるから行きたいんだけど、残念ながら無理です。楽しかった、けど、疲れました。四人着付け、お茶し柴又行き、でもいらして下さり本当にありがたいことです。台風や地震の影響でしょうか、訪日外国人の数が減少しているそうです。うちもいつどうなることやら。