信用と信頼

「ゲストの信頼を失ったらおしまいですよ」

半年前にスタッフの方とうまくいかなくて悩んでいた時に、パートナーの健太さんが言った言葉です。仕事としてはとてもよくやっていただいていたのですが、ゲストや私がスタッフを信頼できなくなったことが原因です。自分は悪いことをしていないのにと言われた時、難しいなあとつくづく思いました。

 

「信用」は何らかの実績や成果物を必要とします。その人の過去の行為(事実)や作り上げてきた作品といった物理的なモノに対して「これは大丈夫だ」と信用するわけで「信用」は、モノを評価する人から、そのモノを作った人に対する片方向になるのです。

一方「信頼」は、その人の実績や過去の振る舞いを見たうえで、その人の人間性や習慣、クセ、感覚といった目に見えないものに対して期待し、その期待に応えてくれるだろうという気持ちの表れです。気持ちに気持ちで応えるのが「信頼」です。「信頼」は気持ちと気持ちのつながりですから、双方向です。

 

ネットでこの文章読んだ時、ゲストたちは着物を着ることだけでなく、何かを期待してきてくれているんだなということが今更ながらわかりました。ずいぶん前に来たイギリスのエマのレビューに「レンタル着物やとしてはよくやっている。でももう一つ、何かが欲しい」と書いてあって、それがなんだかわかりませんでしたが、今ようやくわかった気がします。人間性や習慣、クセ、感覚といった目に見えないものに対して期待していたのか、気持ちに気持ちで応えること、気持ちと気持ちのつながり。

ただこういうことは私にとって、日本人だけの世界ではなかなかうまくいかず、小さい頃から疎外感、孤立感はいつも感じていました。エアビーの体験をはじめ世界中からゲストが来るようになって、おぼつかない英語で対応しつつ何時間かともに過ごしてみて、馴染んでいく過程があまりにもスムーズで、勿論着物を着るという異次元体験をする期待があって興奮しているにせよ、気持ちがつながったと思える瞬間が毎回あり、別れる時泣きそうになることもしばしばです。不思議なものです。

 信頼 confidence  根拠ある信頼、人の能力に対する信頼

  信用  trust (よく映画でギャング同士が trust me  と言っていると主人が言いました。結構危険?)