情念  Passion

 いろんな国からお客様がいらっしゃるので挨拶とさわりくらい話せるようにしたくて、フランス語ロシア語イタリア語ドイツ語スペイン語のテレビとラジオ講座を毎日聞いていますが、外国の雰囲気を味わうのは楽しいものの、フランス語ドイツ語の発音はむずかしいです。

 それにしてもフランス人の面倒くさい考え方が合羽橋道具街、渋谷スクランブル交差点、伝統工芸品センター、和菓子作り、スーパー銭湯、コンビニ、、漫画喫茶、酒造というようなマニアックなエピソードについて細かく語られているテキストにはびっくりしました。勿論フランス語で対応するなんてできないから、考え方や話題の持って行き方の参考にできるかと思って頑張って聞いています。でも会話コーナーのページでフランスの肉屋さんに入って兎の肉注文したら、そこは馬肉専門店で馬肉買って帰ったとかあって、驚きの連続です。

 ドイツ語は真面目なエピソードが多くテレビ講座ではひたすらビールを飲んでるシーンが続いてました。

 ロシア語は面白いというか、こんな国だったんだと初めて知るのですが、昨日来たタイの女医の女の子と、ロシア人の男の子って面白くて変わっているよねとなぜか一致した意見になりました。意外とナイーブというかスピリチュアルというか、もっともうちに来る子たちが変わっているのかもしれませんが、早逝したロシアのロックシンガーの映像見てたら尾崎豊っぽかったりして、感覚が面白いのです。

 スペイン語、何年も習ったのにちっとも身につかないのですが、たまにポコポコ言葉が出てきてゲストが驚いてました。今テキストは歌舞伎や文楽についてで、今朝はなんと人形浄瑠璃曾根崎心中のくだりで、見ていたチリ人の女の子は「このシーンは官能的ね」"Que sensual es esta escea"といっているのです。日本人で文楽見たことある人どれだけいることか、かくいう私もまだ見たことないのです。

 私はシャンソンが好きで着物の片づけする時は若い時好きだった金子由香利さんの歌をずっとかけているのですが、近松の世話物に負けないようなすさまじい内容のシャンソンを彼女はさらっと歌っています。

 愛しいあの人を今、殺しました・・・・想い出のサントロペ

 ねえ いつ帰るの ねえ わかってるでしょう もう戻せないわ すぎていく時は

 ねえ いつ帰るの きょうも 終わるわ・・・・いつ帰ってくるの

 

 私たちがオペラやミュージカルやシャンソン聞いて感動するように、外国人も歌舞伎や文楽や浮世絵など日本文化に感動する感情の原点は一緒か、またはそれ以上のものもあるのかもしれません。タイの女医さんはワントーン落としたちょっと控えめな着物を選び派手ではないけれどインパクトのあるクジャクの帯を締め、帯揚げには朱色と明るい臙脂を選んでました。さっき干してあった帯揚げ見た時、彼女の秘めた情熱と強さを感じました。着物は芸術です。本人の意志と選択で仕上がりが違ってくるのですから。

 人間て、人生っておもしろいなとエアビーの仕事していて、最近つくづく思います。何が出てくるかわからない、何を考えているのか全く分からない、だけど何かで一致するところがあるのです。十一月最後のお客様はポーランドの夫婦と、フロリダからコスメ関係の仕事している若い女の子です。ヘアメイクもできそう、若い感性のヘアスタイルしてもらえそう!