横田めぐみさんへの手紙

 産経新聞に横田めぐみさんに手紙を書こうという呼びかけが載っていたのですが学生対象で、前にこのブログに「羽織の記憶」というめぐみさんの羽織姿の写真を載せたものを出したことがあり、一向に進展せずご両親も年をとられて一刻の猶予もない状態にもう一度思いを書いていきます。

 愛するわが子がある日突然さらわれ、何十年も帰ってこられず会うこともできない、なぜこんなことがまかり通るのかと思いながら、拉致問題について突き詰めて考えられないでいました。ずっと前にヴェネズエラのお客様が来た時、南米は治安が悪くて身内が誘拐されたことがあると言っていて、身代金目当てのギャングの世界も怖いなと思いましたが、めぐみさんはそれとは違う、国家単位の誘拐なのです。

 あらゆる嘘をつき通し、ありもしないことをでっちあげ自分は被害者だという、あちらの国のそんな話聞いたり読んだりしていてなんでだろうと思っていた矢先、そういう事態が突然夫と私に襲い掛かりました。

 ありもしない話をでっちあげ、主人に濡れ衣をきせ、自分を苦境に陥れたと突然やってきた近い血縁の親戚の非難に私たちはびっくりし、あまりに程度の低いでっちあげにもかかわらず、定年後の夫の職も奪い悪口を言いふらす、なんで急にこんなになったのだろうと怒りを通り越し不思議でしたが訳が分かりました。彼の出自はめぐみさんを拉致した国だったのです。地位も名誉も財産もあるのに何で80才近くなってこんなに変貌したのか、彼の中の血が突然変異を起こし狂っていったのか、ひとしきり荒れ狂ったあとまた平然と訪れてくる彼の後ろにはもう日本人の影はないような気がしました。アイデンティティもディグニティも何もなくなってしまった・・自分のアイデンティティに悩んでいるゲストは今までに何人か来ました。自分の苦しみを早口で話すけどわからない、必死で聞き取り、でもなんて言っていいかわからない。そんなこともありました。

 この親戚の暴挙に私達は何とか対処していくことが出来ました。でも、めぐみさんのことは話が違います。めぐみさんを拉致して監禁して教育して結婚させ、日本にも帰さず両親にも会わせない、国家間の交渉をどれだけ待っても解決の兆しは見えません。

 ミネルバのフクロウはもう飛び立っています。今は時代の転換期かもしれないし、終焉かもしれない。それは運命だから仕方ない。

ゲストたちが大好きな宮崎アニメに「天空の城ラピュタ」があります。自分たちを殺し永遠の国ラピュタを手に入れようとする悪に対して、主人公の子供たちは滅びの言葉を口にすることで戦います。失うものは何もない、ただ自分の信念と生きることへの情熱だけ持った彼ら。滅びの言葉によって粉々になったラピュタはそのエッセンスと魂だけが残り空高く飛んでいき、生き残った子供たちは自分たちを軸にしてまた進んで行きます。悪は滅びるのです。少なくとも悪を悪と思わず行っている時に、その人間の魂はもう死んでいるのです。

 めぐみさんがスピリチュアルな意味で脱出してご両親のもとに帰れる日が近いと思っています。悪はいつまでも続きません。

私達も失うものはありません。いつでも、めぐみさんと手を取り合って滅びの言葉を言う準備も覚悟もできています。めぐみさんとご両親のために。

          バルス!