江戸小紋の力

今日のお茶のお稽古に、私と先輩の方と、二人で江戸小紋を着ていきました。地味な色なのですが、細かい精緻な模様の素晴らしい小紋で、最近いろいろな方からたくさん着物いただいた中の一枚です。遠目で見ると無地に見えますが、生地も上質で先生はこんな上等なものは初釜で着てきなさいと言われてしまいました。きょうは炭台を使った炭点前とお薄のお稽古で、最近叱られてばかりなのでずっと予習しておいた成果が出て、割とスムーズにお稽古ができました。

 よい着物に身を包むとすべてが変わって見えるというのはうちに来てくださる外国人の方々がおっしゃることなのですが、私たち日本人でも上質の絹をまとったときの高揚感、安堵感はひしひしと感じますし、うちの場合皆さんからいただいたものを身に着けるので、着物の歴史、帯の由来、帯締め、帯揚げ、コート、ショールとそれぞれ持ち主が大事にしてきた愛情も加わって、余計幸せな気持ちになれます。

よく支えてきてくださった方に感謝するというコメントを聞くことがありますが、今日は江戸小紋の作り手の方に感謝し、帆掛け船の絵の帯の持ち主だった亡き叔母の思い出に浸り、カシミア100%のエルメスの黒いショールの持ち主の和裁師の方への恩を感じ、子供のころからずっとお世話になった小児科の先生が使っていた革の緑の帯締めを使いながら、すべてにどれだけのお礼を言っても言い尽くせない気持ちを抱いていました。

 着物を着る場を大事にしていかなければならない、たくさんの着物をお預かりしている私の使命です。明日から心を入れ替え、頑張って行きたいと思っています。