善き友を得たいなら

 小学校、中学校のPTAコーラスや宗教団体、同好会などたくさんの場所で歌を歌ってきましたが、最後に入っていた金町の会は大変レベルの高い集まりで指揮者の先生もオランダで勉強してきた実力者だったり、ピアニストの方もご自分で合唱団持っていたりで、歌う歌も聞いたことがないようなミサ曲や素敵な歌が多くて、素晴らしい経験をしましたが、ハンガリーの民謡をやろうという事になった時、ハンガリー語の簡単なCDをいただき発音を勉強しました。当の昔に忘れてしまいましたが、ハンガリーからゲストが来たとき思い出してその民謡のCDをかけたけど若いカップルだったのでぴんとこないようでした。

 関口知宏さんのヨーロッパ旅日記(再放送でしたが)を朝早く見ていて、ハンガリーやチェコを十日間かけて旅するものですが、そちらからもゲストがいらっしゃるのでどんな街なのか興味深く見ていました。

 関口宏さんと西田佐知子さんを両親に持つ彼を見るのはこの番組だけだし、どちらかというともっさりした淡白な感じの俳優さんで、何回もこのシリーズを見ている割には印象が残らなかったのですが、エアビーの仕事を始めてたくさんの国から外国の方がいらして着物を着せて柴又を案内するという事を彼らはどう感じるのかというのが、関口さんがいろいろな国を旅して思う事と同じではないかという気がしています。

 例えばハンガリーは四方を他国に囲まれていて他民族が入り込みやすい土地だったために、自分をしっかり守り、味方のふりをする者を見分けなければならなかった、だから自他の境を明らかにする気風やアイデンティティの一つである掟をしっかり持つ気風が残ったったのだろうと彼はいいます。ハンガリー人にとっての人間関係とは、互いの自分らしさを積極的に守りあうことで、「自分を殺さない協調性」という他民族国家の真髄であり、まあまあでもなく、なあなあでもなく、日本の「消極のよさ」とは本当に真逆なのです。

 関口さんの作ったこんな歌がエンディングで流れてきました。

    「善き友を得たいならば」

  本当の自分でいなさい  本当の自分を知りなさい   本当の自分を取り戻しなさい

 

 本当の自分とは何なのか、64年かかって、最近やっとわかってきた気がします。自分が自分でいることがよいことなんだ、大丈夫なんだという事が、500人の外国の方々に着物着せ、柴又連れていき、いろんなことを話し、ティーセレモニーをして、最後ハグして別れるということを繰り返しやることで納得できたし、長いことかかったけど本当の自分を取り戻したのだと思います。

 昨日アメリカからいらした二人の奥様はとても寒かったのですが、着物を着て柴又を楽しく散策してくださり、お土産買ったり写真撮ったり目一杯楽しんでいました。お一人は日本人のご主人を持つ翻訳家で日本語の本も出しているし、着付けも習っているそうです。またいらしてくださるとか、新しいご縁ができそうです。