岩国からのお客様

二月は本当に暇で、時々一人旅のゲストの予約がぽつんと入るくらいですが、この間は一人の予約のところに急な三人のゲストの予約が追加され、あらうれしいどこのお国から?と思ったら岩国とあり、山口県?米軍基地?錦帯橋?少ない知識ともしかして日本語話せるアジア系?とか想像を巡らせつつ、ひとりの男性の175センチ95キロという数字に何をお着せしたらいいか悩んでいました。

 タイムアウト、定刻より少し早めに現れた彼らはアメリカとプエルトリコの方々で、そんなに太っていない!(失礼)のでまず安心、どこで働いているか聞いたら「システムなんとか・・」というけどわからず、且つ日本語話せず日本人の友達もいないという事は、会社内の付き合いだけでいるのでしょうか、今は各企業も海外進出してるから、ローカルな地域にもいろいろ海外の会社あるのは当たり前なのでしょうが予備知識が全くない状態で、見切り発車着付け始めました。男性はあっという間に着物着せてあらあらいつもながらかっこいい、21歳のハンター君は笑うと八重歯?が可愛い背の高いスリムボーイ、27歳のプエルトリコのパブロはよく話すんだけど聞き取りにくい英語で、時々スルーしながら主人の着物を着せました。日本語話せないといいつつ、突然「わたしはあなたをあいしています」と言い出し、(誰が教えたんだ!)意味もI love you と知っていながら彼女いないって言うし、よくわからない同僚たちの関係ですが仲はいいのです。ミシシッピ出身のShaniqua(名前がどうしても発音できない!)はピンク好きでオールピンクで統一、主人と仲良く草履や扇、バッグ選んでました。

 後から来た中国人でオレゴンに住むリリーも交え柴又行きいつものコースたどり、お団子や太鼓焼き買ってうちへ戻り、着物脱いでティーセレモニー始めたのですが、それまで楽しくがやがや騒いでいた岩国組が真剣モードになり、茶道のレジュメを熱心に読み緊張して席に着いたのです。こんな真面目な雰囲気初めてで、主人が見本で抹茶飲みながら「Very easy, let,s relax, please enjoy」と言っても予習し続け、最後の「Gotisousamadesita」に超苦戦して、パブロは何回も繰り返して唱えているのです。

 一巡してみんな無事お茶いただき、みんなに共同で点ててもらい私がいただき、最後にもう一服私が点てて「パブロー!Once more try!」と彼のところに持っていったら又ド緊張して、OK!と飲んでごちそうさまでしたと必死で言っている姿が可愛くて、なんて真面目なHuman  being なんだろうと感心しました。酒好きな彼らに頂き物のお銚子とおちょこ三つプレゼントし、地味な着物の羽織をgrandmatherにあげてと持たせ、熱くハグして別れましたが、日本で三年近く働いているからといって必ずしも日本に馴染んでいるわけではないし、かといって観光客でないから日本のこと知っているだろうと思い込んでいる私の感覚が、違和感というかちょっとやりにくいところはあったのです。

 日本で働いている外国人にもっと日本を体験してもらえるといいんだろうなという事は、新たな客層の開発はここらへんなんだろうけれど、日本に進出している企業の把握ができていないからいけないんだけれど、エアビーの仕事始める前に来た海外のお客様は、日本で働いていた人が多かったこと今更ながら思い出しました。

 若いハンターが「面白かった」と言ってくれたのが印象的で、しかし意外だったのがアニメとか漫画、ゲームとかほとんど知らなかったことです。いやはや、この仕事はまだまだ未知の部分が多い、不思議な世界です。