浩然の気

今日のゲストはフィンランドからの綺麗な若いハンナさんでした。一人旅で他のゲストもいないので私も着物着て、マンツーマンの体験です。ほかのゲストがいるとみんなでいろいろ話が弾んで楽しそうに見えるから、私だけが相手だとどうなのかしらと不安にもなるのですが、コロコロ笑いながら着物選んで苦労して帯合わせて、帯締め帯揚げバッグ草履扇と選択するものがあまりに多いのに音を上げていました。札幌、仙台、広島など各地を回っているとのことですが、なんと広島大学で半年勉強していたそうで、勉強が大好き(看護師しているお母さんもそうだとか)ファンタジーな小説を書きたいそうです。日本のアニメが好きで一押しはワンピース、カラオケではX-Japanの紅を歌い、そして右肩のtatooの文字は「心の平穏、初志貫徹、浩然の気」!浩然(公然)の気とは孟子の公孫丑上からの言葉で、天地にみなぎっている、万物の生命力や活力の源となる気、物事にとらわれないおおらかな心持ち。なんでフィンランドの女の子の肩にこの言葉があるのかしら。謎が謎呼ぶし、彼氏つくるより勉強するのが楽しい彼女とのマンツーマンの体験はなんとなく不思議なものでした。北赤羽のカプセルホテルに泊まているというハンナは帰り際ムーミンのキーホルダーが付いたチョコレート菓子をプレゼントしてくれ、ハグして別れたけど彼女の頭の中には何か静かな情熱というかそうそう浩然の気がみなぎっているようでした。ほんとに面白いものです。フィンランドからのゲストは四人いましたが、みんなインパクトが強かった、一番初めに来たイタリア生まれのフィンランド暮らしのパパと次女さんが来るそうそう雪に埋もれた自宅の写真を色々見せてくれたのでした。

 例えば日本の茶道を体験してもらっても、わびさびという説明よりも、際限なく繰り返す稽古やすぐにわからないことだらけのお茶の世界との葛藤とか、もっと違った感覚までわかってもらえる外国人もいるのかもしれない、日本文化のなかの深い地下を探っていくにはたとえばハンナみたいなタイプともっとつっこんで話せたらいいのになと思いました。

二年目を迎える私の体験、同じ歩みはできないのです。