あきらめない

今日のお客様はロシアのサンクトペテルブルクから185センチと182センチの高身長の若夫婦と、イギリスからのちょっと不思議なヤングカップルでした。最近はどんなパターンのゲストでも動じなくはなったのですが、到着するまでの一抹の不安が、体重の表示が微妙なことで、60~80㌔、いや100㌔近く・・ん?公表したくないことはしょうがない、後はこれまでの経験値で対応することにしました。 

 まずロシアのハネムーンカップル到着、奥様はスリムな美人でこのサイズはたくさんあるので後は選択のみ、旦那さんは大きいデニム着物でぎりぎり、足も30㎝越してるけどまあ何とか大丈夫でした。不安があるときはほかのもので誤魔化すに限るので、刀や弓矢や印伝のバッグ持たせて写真とったら二人とも結構はじけているので、一安心。

 少し遅れてイギリスのカップル登場、身長は二人私と同じくらい、彼氏はおとこ物でいいのかしらと思いつつやはりデニムを着せ、さあ可愛いロリータ大好きの女の子に何を着せようかと出してあった大きめの着物試したけど、全部だめで、前に狼飼っているアメリカのカップルがこういうパターンだったけど、あの時はうちで写真だけ撮って、ほかのゲストいなかったので外へ行くときは脱いでもらったから何とかなったけど、今回はみんな着物着て待っているし可愛い彼女は愛くるしい目をしてどんな着物着れるか期待してるし、絶対着せてお外に出なくてはいけません。

 最後の砦、伝家の宝刀、手描きの黒振袖着せて前はピンでとめ、襟は崩れたけどしょうがない、総刺繍の袋帯締めて二本取りの帯締め使い、ゴージャスに仕上げました。今日は着付けしている間に蛍光灯がチカチカしだすし、スマフォのアダプター頼まれて階段上ったり下りたりいつもより余計動きながら、一瞬今日はダメかしらと思ったりしたのですが、あきらめたらおしまいだしこんなにみんな助けてくれているんだと頑張りました。

 ロリータの女の子の振袖姿は外の光浴びると柄がくっきり浮かび上がり、それこそ日本の伝統技術の極みで圧巻でした。彼女に着てもらって着物が喜んでいる、この着物作るのにさまざまな方がかかわってくださったのだけれど、それこそ帝釈様の彫刻と一緒で細かい技能、技術を尽くした職人技が素晴らしくて、彼女がこの振袖着て彫刻見ているこの場面、すごいなと思いました。安全ピンでとめたりしているので座れず立ちっぱなしの彼女は疲れたでしょうが、帰り際しっかりハグしてから二人で楽しそうに帰っていきました。

 あきらめないでよかった。私があきらめたらこの仕事は終わりです。今日も諦めないでいましょう。

 みんなに感謝です。