ルパン三世

今日はイタリアから陽気なビッグカップルと、ルーマニアから小柄な静かなカップルがきました。イタリアの180センチの奥様には私の高身長用の着物用意していたのですが、ブロンドヘアにスカイブルーの目にマッチした普通サイズの着物がとても気に入り、何とか頑張ってお着せしましたがウェストベルトが見えてしまう状態、でもとにかく綺麗で、後は常に一緒にいて気を付けることにしました。時々日本の方の完璧な着物姿見かけることがあって日本人の着付けには本当に気を使いますが、外国の方は色とか雰囲気とかそういうほうが大事な気がしてアバウトな着付けをしてしまうのですが、後で撮った写真を整理しているとき、なんてきれいなんだろうと息を呑むことがあります。

 いつもにこやかで人の気をそらさない話し方をするイタリアガールと対照的に、個性の強いルーマニアの女の子の英語はわりと難しい単語を使って理論的に話すせいかいつも緊張していないといけなかったのですが突然きれいな日本語話すのでびっくりしたら、日本のアニメが好きでほとんど見ているとか、いやはやルーマニアのヤングカップルと「君の名は。」の話をしなければならないのですから私のような年寄りには大変です。イタリア、ルーマニアそろってみてたのがルパン三世で、そこに主人も加わり「私は不二子が好き」ですって。ほんとに何なんでしょう。私も負けじと帝釈様の彫刻の前で、ルーマニアの彼氏に手塚治虫の漫画ブッダを読むように勧めましたが、火の鳥は読んだと言っていました。

 最近ヨーロッパのお客様が増えてきて、柴又でもドイツやフランスなど、様々な国の外国人の方がいらしてます。静かな帝釈天の庭園や彫刻、そしてティーセレモニーの体験がとても評判がよくて、着物を着て殿様になった気分という方もいらしたし、少しでも心地よく瞬間を楽しんでいただきたいと思います。着付けの不備でギャラリーに何か言われて不快な思いをしないように、私は体を張って?ゲストの感情を守っています。帰りのホームで電車待ちながら、日本来るまでにジェノバ、ローマと乗り継いで何時間かかり、東京だけ滞在で一週間だけのハードな旅だとか、それでも日本に来たい理由はと聞くと、落ち着いていて安全、人々が大声で騒いだり音楽聞いたりしない、街が乱れていないというので、うーん世界はそんなに大変なのかしら、でも特に今はいろんな国からの移民も増えているし、最近は国際情勢は感情で動くといわれているしなどなど、この狭い日本の片隅にずーっと定着している私はひたすら聞きつつ、でも皆第二外国語だから聞き取りやすく、コミュニケーションとはこうやって取れていくのがベストなのかなとふと思いました。

 うち帰って着物脱いでもらって髪の毛ほどき、胸の深く開いた黒のジャケット着たイタリア美女は峰不二子のようで、着物姿との落差に驚きますが、でも綺麗なのは同じ、チャオと明るく帰って行きました。いつものごとくみな帰ったあと呆然としながら一人反省会。でも今日はこれでよかった、許してほしい、もう少し上手く着せられたか、どこが悪かったか。自問自答しつつ、次回の方々の支度にとりかかります。桜満開の季節、でも土曜日雨降りそうとか。雨コートを用意しなければ。