ロパートキナ

朝のロシア語講座で有名なバレエダンサーのロパートキナのインタビューを聞いていて、五分間なのですがその内容のあまりの深さについていけず書き起こすことができないので彼女のバレエ「瀕死の白鳥」など見たのですが、人間ではないようなフォルムや表現に絶句してしまいました。いつもバレエのことだけを考え続けてきて、四十代で引退してからも違った形で自分の思いを表現したい、理想を形作りたいと模索していると言います。

 野球のイチロー選手が引退して会見していましたが、やはり野球のことだけしか考えてこなかった、野球を愛していたからと語っていました。

スケートの世界選手権が埼玉で開かれ、壮絶な闘いでしたが、羽生選手をつぶそうといろいろな仕掛けがあったようで、確かに今までと違った練習風景やリンクの状態でありえないミスしたりいつもと違う表情やなりふり構わない努力の姿があり、かなりの点差で負けてしまいました。ただオリンピック二連勝してからモチベーションも下がり、自分のために滑ると公言してでた試合見ていて、熱烈なファンの私でもふにゃふにゃした感を持ち、彼の自己満足だけでは感動できないと思っていた矢先、この試合にケガ明けで出てきて、強いライバルがいて、そしていろいろ罠を仕掛けられ、でもそこからなりふりかまわず必死で立ち上がる姿こそがこのオリジンというプログラムを滑る本質だったのかもしれず、本当に息を呑む演技でした。

 結局人を貶めようという奸計は、選ばれた人間しか受けず、それは高みに登るための試練でありばねであり、それを受けないとつかめないものがあるのでしょう。すべてに対して誠実に生きていきたい。悟りは自分の体で感じる、無心でつかまえること。またまたお釈迦様の彫刻版の姿がよみがえります。

 ロパートキナはバレエダンサーで競技者ではないけれど、どういう風に表現しようかどうしたらいいかいつも追求し続け、名声も何も関係なくいつも小学生のように無心にいろいろなことに向き合っていました。好きなこと、自分のすべがあるのは本当に幸せなことです。そのために今日という日をいかに生きるか考え、行動することができるのですから。 

 日本は経済力でアメリカや中国と戦う国ではなくなるだろうし、環境や資源を大切にしていたらそんなに経済は伸びない、でも成長がないまま安定する社会が実現できるかもしれない、国力が力や金ではなく、品格とか文化に移っていくのではないか、というのが評論家の山崎正和さんのコメントでした。

 ゲストに写真を送ると受け取ったという知らせが入るのですが、イギリスからのゲストの返信が入らず心配していたら昨日レビューと一緒に連絡が入りました。「来るまではとてもナーバスだったけれど、怖れることはなかった、この体験をいつまでもcherishしたい」と書いてあるのを読んで、本当に嬉しかったのです。いろいろ気を遣うことが多かったけれど、でも私は彼女らが好きだったし最高の振袖着せて境内の庭園で撮った写真は素敵だった。自分も含めいろんな葛藤や軋轢の中であえて生きている人たちは敏感だし、落ち込むことも多いです。でも自分を貫くため、好きなことをやり続けるために努力していくとき、触れ合ったすべてのゲストを応援したい気持ちでいっぱいになります。日本の文化と品格を持った着物を着てくださったすべてのゲストに心から感謝しています。