言葉にできない

 小田和正さんのこの歌を息子の中学の卒業式の謝恩会で流した時(幹事でした)、なんでここで泣かせるのと出席していたお母さんに言われたことがありましたが、心に染みるインパクトのある歌です。しみじみとした言葉が続いた後、淡々と「あなたに会えて本当に良かった。嬉しくって、嬉しくって言葉にできない」とうたわれると涙がドバっと出てきます。いろんな人がそれぞれのシチュエーションでこの歌に感動するのでしょうが、今の私にとって毎回ゲストと別れるときあなたに会えてよかったと思いながらハグしています。たくさんの人に支えられ手伝ってもらい、それぞれ魂を持った着物を外国の方に着せて柴又を歩き素晴らしいと声をかけられ、お釈迦様の彫刻を見ながら仏教について語り合い、四季折々のお寺の庭の美しさに息を呑み、参道で美味しい佃煮や漬物、お菓子をたくさん買い、最後うちでお抹茶を点てて飲んで「ごちそうさまでした」というのに苦戦して、ああ楽しかったと帰っていただく時、言葉にできないしみじみとした喜びが沸き上がります。

 でも自己満足ではいけないと思っているし、昨日来た若いイギリスの女の子二人にはちょっと苦戦しました。意外と夫と相性が良くて、特にイギリス好きで旅行にも行っているし彼女たちと話が弾んでいるのを聞きながら、柴又に同行してもらおうかとも思ったのですが、とりあえず一人で頑張りました。とにかくとても暑い日で、黒のタンクトップにグレイのチェックのショートパンツをはきショートヘアをおしゃれな濃い赤に染め肩には何ともののけ姫のコダマのtattooをしたルーシーには簡易襟で単衣の紺の着物を着てもらい、それでもずっと扇子で扇いでました。南アフリカがオリジンのジーンはふっくら目なので黄緑の袷に長襦袢なしの簡易襟にして、こちらは暑がりではなかったのですが襟が浮いてしまい、うーん難しいと思いつつ、初めは気になっていたのですがだんだんそれどころではなくなり、いかに散策を組み立てるか必死になりました。このところはしゃぎまくるメキシコ女性三人組やタイからの家族友人グループと陽気なゲストでハイテンションだったので楽でしたが、着ぐるみを作る会社で働いている人懐っこいジーンとクールなルーシーの関係の中に私のようなおばさんが入り込むのは単語力の不足やジェネレーションギャップもあるし、結構大変です。

 クリームソーダ(南アフリカにもあるそうです)が好きだというジーンのためにとらやに入り一服している時、私は真っ向勝負でルーシーににあなたはクールでちょっと怖いと言ったら、ボーイフレンドにも怖いと言われるとのこと、望みはと聞くといいボーイフレンドが欲しいと!彼女は生半可な男では物足りない、だから夫と相性がいいのです。もののけ姫の世界が好きで、ファッションもクールで織のしっかりしたものを選ぶし、さすがイギリス人でアメリカ人とは違います。品格と主義主張があり、そしてちょっと頑固でしっかりしている生粋のロンドンっ子でした。

 ラストは駄菓子屋さんに入り、楽しそうに買う姿見てて私も選び出したら面白くて、コナンのチョコレートと干し納豆買いました。その時のゲストと同化するもので、おとといのタイのおば様にはここは子供向けねと一蹴されたのですが、人が変わって見方が違えばすべてのものが新しく見える、ルーシーはお寺の彫刻ゾーンでも体が亀で頭としっぽが龍の彫刻見つけたりして、本当にユニークな女の子でした。

 今上野の国立博物館で京都の東寺の仏像曼荼羅展をやっていて、帝釈天も来ているそうです。京都の東寺には遠くて行けないけど、上野ならいけます。柴又をより深く知るために京都の仏像をしっかり見てきましょう。そうするとまた話題が広がって、ゲストと会話しやすくなります。

 明日は初めてのダブルヘッダー、午前中三人、午後一人です。大丈夫かしら、体が持つかしら。まあ何とかなるでしょう。