完璧という領域

 便利なのでアマゾンで本を買うことが多くなりましたが、あとで会社のためにぜひレビューを書いてほしいとメールが来ても面倒くさくてついスルーしていました。でもこのところレビューを書いてもらうことが本当に少なくなって、今まで自分も書いて来なかったことに思い当たり、最近買った本をきちんと読み返して読書感想文を作っています。

 熊川哲也さんの「完璧という領域」という本、新聞の書評で読んで心惹かれ購入したのですが、素晴らしいバレエダンサーの熊川さんが自分の半生と自分がバレエカンパニーを作るに至った考え方を具体的に語っています。

 今朝チェコの旅番組見ていて社会主義から民主主義になった今、若者が何をしていいのか自分とは何なのかということに非常に悩んでいると語っていましたが、どこの国でも誰でも自分のやりたいこと、自分の行く道を見つけた人は強いし、そして才能や運、努力、強い精神力を持って突き進める、熊川哲也氏はまさにその言葉通りの人です。大きなケガもしたし、Kカンパニーを作り経営していくうえで大変なこともたくさんあったようですが、芸術とは自身が自分の中の光を外に発するためにするもので、自分の内側で蠢く生命体のような塊をひとつの作品として具現化し外に解き放つことで生きていくことだ、そして体の奥から湧き上がる衝動や頭の中に生まれる妄想に蓋をしてしまうと息が出来ず窒息してしまう、人間はだれしも何かをして生きていかなければならない、烈風にさらされても一人で立ち続ける強さが必要で精神的な強さは舞台表現に必ずあらわれると言います。あるときは自信があって傲慢にも思えるほど強気な熊川氏ですが、スピリチュアルなものにも敏感で、空気をまとい交流するように、空気を感じ見えないものを感じながら踊ること、心でしか見えないものを見ながら時空を超えた世界を表現したいとありました。

 人は変人とかいうけれど、自分の心のままにやりたいことを精一杯できるということは定められたことなのかもしれません。ミラノの家具展示会でサボテンの形した洋服掛けがあって、とげの突起を職人さんが丹念に一つ一つ作っていて、人の手で唯一無二のものを作り出す、職人魂とのナレーションがあり、その時ふと帝釈様の彫刻版を作った彫刻師のことを思い出しました。お釈迦様の大事な教えを十年かかって大事に彫り込んだ彫刻版を見て、この「三車火宅の譬え」が一番大事だと言った髭もじゃのアニメ好きなアメリカのお兄ちゃんが言ったことがあってびっくりしたのですが、欲に満ちた現世、今屋敷は火に包まれ燃え盛っている、その奥で何も知らず遊んでいる子供たちを救うため、用意された三台の車。その車は子供たちを救うための方便で、本当は一番大事なもっと大きな車が用意されていたということ、それを言いたいがためにこのお経はあるということでした。

 このところ欲にまみれた人間が主人や私を攻撃にやってきてうるさいのですが、火事で燃えている自分の家や中にいる子供たち見ても何にも思えないほど、感性も知性も何もないの見てかわいそうだなあとしか思えません。

 熊川さんの本読んで、やるべきことを持ちやらなくてはならないという覚悟をして、深く深く行動していくことが大事だと思いました。

エアビーから着物だけでなく何かをプラスしてみないかと提案が来ました。茨城から隔週送られてくる有機野菜を使ってゲストと何か簡単な料理でも作る体験を増やしてみましょうか。