COCOアート 荒川区版

 過去5年娘とかかわってきた、子供とプロアーティストがコラボして、ダンス、バトン、和太鼓、パントマイムなど繰り広げるエンターテインメントショーCoco アートが今年は荒川区の主催になるということで、衣装もすべて区が手配した方が担当することになり、招待券をいただいて昨日日暮里のサニーホールに主人と見に行ってきました。

 今までは体育館で父兄の皆さんもいろいろ手伝って手作り感満載のイベントでしたが、今回はステージ上でプロジェクトマップ使ったりスモークたいたりして本格的だし、受付も案内も区の職員の方が担当していました。

 着物スタイリストという肩書をもらって、エミ・エレオノーラさんというピアニストで歌手の方に振袖ドレスという和風の衣装をアレンジして着せていましたが、アングラ系の有名なシンガーのエミさんは腰の低い親しみやすい方で、私ごときの着付けで満足していただき、昨年までリハーサルやゲネプロまで見ることが出来、若いダンサーの熱気や才能に感動していました。

 でも今回はプロの衣装で統一すると聞き、どんなに素晴らしいものかと期待してステージを見ていたら、突然エミさんがピアノの前に座ってスポットライトを浴びていて、ああ懐かしい!エミさんだ!衣装は?・・黒のジャケットにワッペン付けて、中はピンクっぽいレースのハーフドレス?みたいで足も出していて、自前かしらと思ったりしました。今まではハラハラドキドキ、帯が落ちないか胸元がはだけないか、チュールが絡まないか、見守っていたものでしたが、今回は舞台上での出来上がった姿、遠い感覚でしか見ることが出来ず、そして残念ながら感動することはできませんでした。作る側の苦労や努力は大変なものだったと思います。でも今まで外部の人間なのにリハーサルもゲネプロも何回も見てきた私にとって、今回はいろいろなことが中途半端に思えてなりませんでした。誰に見せたいのか、何を訴えたいのか、感覚が統一されていないし、出演しているプロの方もこれで満足しているとは思えない、何よりも温かさも愛情も含まれていない、また見たいと思えないことが残念でなりませんでした。

 区とコラボするのは難しいんだと、介護体操企画で区に翻弄された経験のある夫がつぶやいていましたが、金銭的にも他の面でも随分助かる代わりに、一番大切なことはわかってもらえないない、民間の尺度では測れない深い溝があるのだそうです。

 何事にも終わりはあるのですから、かかわれなくなったことは仕方ありませんが、今回私はこれまでエミさんに衣装を着せてきたことに、改めて感謝と誇りを持ちました。着物を使ってこのCocoアートに参加できたことがささやかな自信となっています。