用心棒

 昨日ニューヨークの小さな町から友達と二人で来たこのお兄さんはものすごい日本マニア、映画、アニメ、歴史、宗教いろんなことを知っていて、私と主人は持てる知識を総動員して話し相手になり、日本間にある鎧兜を見せたり弓矢刀を持たせたりして写真を撮ったのですが、栃の和歌の相撲浴衣を着たフィルが撮ったポーズは用心棒の三船敏郎でそれが決まっていて、笑ってしまいました。

 黒澤明、小津安二郎、鈴木清順という映画監督から始まり、手塚治虫、松本零士、楳図かずお、新海誠、高橋留美子、宮崎駿、水木しげる、もうあげきれません。戦国武将も好きで、織田信長、豊臣秀吉、真田幸村、伊達政宗・・お寺に行くと、持国天増長天広目天多聞天と言い出し、帝釈天も知っていました。

 面白かったのは駅前の寅さんはわからず、でも手塚治虫の漫画ブッダは読んでいたので、彫刻ゾーンでは話がしやすく、風神も雷神も知っていたけど阿吽は知らなかった、26歳のフィルと文化論バトルを繰り広げながら前日のチキンカツにあたったらしく参道のトイレに10分くらいこもったり、汗かきつつ珍道中を繰り広げました。

 この日は参道のお店はお休みが多かったのですが、今年は50年やっていてこんなにお客が来ないのは初めてだと言っていた佃煮屋さんのおじさんの言葉を仏具屋さんのご主人に伝えたら、この前の選挙で野党が2000万円の老後資金問題をことさら声高に取り上げたから、お参りに来る人たちがお金を使わなくなった、心配しなくても大丈夫なのにと怒って言っていました。外国人は来てもお金使わないし、体験も難しくなってきましたが、今日みたいにマニアックな日本文化オタクの話し相手になれると喜んでくれます。アニメも含め、私が何に感動するかということをきちんと考えて、英文化しておかないといけません。「君の名は。」ちゃんと見て、わからないながらも感動して泣いておいて良かった、でも次回作「天気の子」のことはフィルは知らなかったから、新作には弱いんだと思いながら、私は老骨に鞭打って必死に頑張りました。帰り道、トランプとオバマさんの話になり、拉致問題を解決してくれるのは意外とトランプさんかもしれないと言いたかったけれど「拉致問題」が言えなかった、私も新しい話題には弱いです。日本文化もこういう外国人に支えられているのかもしれませんが、その夜二人とも長いレビューを書いてくれました。ありがとー!