イノベーター

 「イノベーターには強烈な個性がありますが、孤立意識、並外れた自信、高い理想を抱きそれを達成するための努力を惜しまない等の点で共通しています。児童期や青年期に長い時間を一人で過ごし、関心があったものを深く追求してきました。孤独な時間は創造性には有益で、社会通念に影響されにくくなり、集団が共有する考え方に自分のアイディアを汚染されなくなるといいます。また、問題を解決する方法の実効性と実現可能性を見極める能力に絶対の自信があり、他人の理解を求めません。イノベーターは絶対に成功させる自信を持ち、信じた仕事に努力を傾け、障害に直面しても諦めないし、理想主義者でもあるため、長期的な目標を掲げ、未来の具体的ビジョンを失わず、理想の実現に向けた努力を優先します。 確かな報酬を得られなくても並外れた努力を惜しまず、高い理想は仮に厳しい批判に直面してもそれに耐えて目的を貫く役割も果たすといいます。」

 これはメリッサ・A・シリングという方が書いた「世界を動かすイノベーターの条件」の中の一文なのですが、昨日いらしたゲストの30歳の女性が今まであったことのないタイプで、同い年の旦那さんはスイス人でヤマハのバイクでツーリングするのが趣味の背の高いイケメン、インドの大学で知り合って結婚し今はスイスのバーゼルに住んでいるとか、初めは奥様もヨーロッパの方かと思っていましたが名前がうーんモンゴルチックで、レビュー見たらモンゴルのホストのものがあったので、急遽モンゴルの人形を受付に飾りました。

 コージーコーナーのケーキの空き箱(昼はケーキ買って食べたようです)持って現れた彼らは理性的でさわやかなカップル、とてもきれいな英語を話す奥様は大学では哲学を専攻し、今も大学生だそうです。最近ヨーロッパの男性とアジアの女性のカップルが多いのですが、主導権はわりと女性にあるし、今回も奥様はしっかりしていました。驚いたのが浴衣のおはしょりを中に入れようとしたり、私が苦手でいつもきれいにできない帯揚げを自分で綺麗に整えたり、勿論長いヘアもいろいろ工夫してアップにして簪付けたりお花つけて可愛くしたり、とにかく自分の軸がしっかりしていました。彼とは英語と時々ドイツ語で話していて、彼曰く彼女は言語習得能力がすぐれているそうです。面白かったのが夫が私を「おかあさん」と呼んでいるの聞いていて、私の名前がおかあさんと思ったらしく、柴又の参道でしきりにお母さんと連発するので、それは年取った夫婦の「ハニー」みたいなものだといって大笑いしましたが、私も夫のことを「おとうさーん」としょっちゅう呼ぶので、中国の女の子が「おとうさん」という言葉を覚えてしまったことがありました。耳が早いというか、吸収力と対応能力が半端じゃない奥様は、ラブラブの写真たくさん撮って、これから大阪京都広島高山と回ると言っていましたが、これからも日本や文化にどんな反応をするのか知りたいものです。

 どちらかというと静かで保守的な感じの旦那様に奥様のどこが好きかと聞いたら、アグレッシブで頭の回転が速く、自分の理想や目的に対して真摯であり行動的で思いやりが深いと言っているようでしたが、ヨーロッパの女性にはない感情の複雑さ、確立されたアイデンティティのある女性といることは、今どきの男性にとってはかえってほっとするのかもしれません。

 まだ30歳で勉強中の彼女、どんなイノベーターになるのか、すごく楽しみです。帰りの電車で、彼氏は私に沢山の国の人と接触していてトラブルはないかと聞いてきて、いくつかはあったけど何とか大丈夫と答えましたが、こんなこと心配する外国人も初めてで、びっくりしました。最後彼らとしっかりハグして別れたけれど、ヨーロッパの真面目な若い男性が求めているのは精神的な深いものなのかしらと思う時があります。ヨーロッパは疲弊している、でもアジアは良くも悪くも何かが蠢いている気がします。

 この日もう一人フランスのリヨンから来た一人旅の中国の女の子がいて、中国語とフランス語しか話せないというから私は凄く焦っていたのですが、大丈夫英語も話せたしとてもユニークな連れがいました。この話は次回に。