ナイジェリアのウミ

 土曜日にゲストが一人予約してきましたが、名前がUnmiでテキサス在住、ホストのレビューに韓国語が上手いとあり、あれあれどこの国の方かしらとお迎えしたら、ナイジェリアの両親を持ち十年前にテキサスに来て大学卒業し今は韓国で英語の先生をしているそうです。私と同じくらいの体格のウミちゃんは五か国語話し日本語もテキサスで習ったそうで聞き取りはほぼできるとか、両親は70代、兄弟も40代で年の離れた末っ子の人懐っこい明るい性格で、私たちは着物選びから写真撮りまで、笑いっぱなしで過ごしました。日本人の先生に「ほたるこい」の歌を踊り付きで習い、お茶も点てられるし刀持たせれば構えるし、頭の回転の速い女の子ですが、今複雑な関係にある韓国に住んで、彼氏も韓国人だといわれるとこちらもなんとなく探り入れつつ日本についてどう思うか聞いたりしました。そういえば韓国で英語の先生しているゲストは五人目で、フィンランドやイギリスの女性もいましたっけ。

 日本語使う機会がないというので、なるべく日本語で話し、お団子屋さんでは二本醤油系の団子食べながらドイツ語フランス語イタリア語ロシア語で挨拶したりして二人で遊んでいたら、そばにいた日本人の夫婦にガン見され、私たちは何をやっているのかしらとおかしくなりました。ナイジェリアはアフリカで第三位の経済力を誇りボビーオロゴンやオコエ選手の故郷で明るく行動力のある人々が多いのですが、リーダーシップをとる人材が少ないとか、でもウミちゃんは頭が良くて好かれるタイプだし、今家族が住んでいるテキサスには日本人が多いしダルビッシュ投手も活躍していると主人と話していたり、ふたりでジンが好きとか盛り上がっていました。

 カラオケも好きでアニメソング歌うウミちゃんのお気に入りアニメは東京喰種トウキョウグール、「残酷な天使のテーゼ」というエヴァンゲリオンの主題歌を二人で歌いながら帰ってきましたが、これだけ言語があると何語がしゃべれるかとか問題ではなく、互いの共通点は何か、何が好きか何が一番大事かということになり、もはや恋愛に近い感覚になります。かわいらしい表情をいたるところで見せるウミちゃんを愛しいと思うし、一緒にいる時間が何よりも楽しい、年代とか民族とか関係ない気がします。随分前にメキシコの三十代、彼氏と別れたという女性がゲストで来たとき、別れ際私を連れて帰りたいと言ってその時は意味がわからなかったけれど、今はなんとなくわかるような気もします。

 ナイジェリア、テキサス、韓国、そして日本とウミちゃんのテリトリーは広く、ここからどこへ進んでいくのか知らないけれど、今まで来たたくさんのゲストと同じように私の大事な友達だという感覚は強くあります。エアビーの体験は仕事であり、収入源なのですが、いろいろな感覚、感情、アイデンティティを引きずり出され試されている気がします。