一級建築士で葛飾の地域雑誌の編集もしている沙耶さんが、ゲストが来ている時の取材をしたいというので、アメリカの27歳の女の子が一人来る日に来てもらい、沙耶さんにも着物着せて柴又散策することにしました。定刻よりかなり早く来たHeatherさんはしっかりした体格のしっかりした女の子、一人っ子で午年というとこまでわかったところで沙耶さん到着、英語話すのは久しぶりだと言いながら、よどみなく二人で会話して盛り上がっています。「どこで英語習ったの？」「二年間ロンドンにいたので。」かっこいい！私はラジオ英語講座だといつも答えているのに・・・
大正時代の羽織をネットで買ったというHeatherは着物が好きで知識もあり、”辻が花”（室町時から伝わる気品漂う染めの着物で簡素だけれど品格に満ちた墨絵と絞りの着物）も知っていて、それに近い渋いピンクに花があしらわれた着物を選びました。沙耶さんは明るいブルーの着物で、二人並ぶととてもきれい、早速ポージングしてもらって写真撮りましたが、日本舞踊の型のような女っぽいものは似合わず、マッチョなポーズとりだしたらすごくフィットして、これが彼女の本質なんだとおかしくなりました。
参道を歩きながら若い二人の会話は限りなく続くし、沙耶さんが写真も撮ってくれるので私は楽でしたが、たまたま何の仕事をしているのか聞いたら初めは犬のブリーダーをしていたが、今は「？？？？」と聞き取れない単語を言って、沙耶さんもわからず、辛うじて悲しい気持ちになった時それを改善するためにヘルメットのようなものを被り・・みたいなことを言っていることはわかりました。単語をメモ帳に書いてもらい、夜調べたら、 Transcranial magnetic stimulation経頭蓋磁気刺激法 アメリカ発の最新のうつ病などの治療方法で、これまで一般的であった抗うつ薬での治療法ではなく、磁気刺激で脳の特定部位を活性化させることで脳血流を増加させ、低下した機能を元に戻していくそうです。いやはや日本語でも難しい。でもうつ病の薬を飲んで体の調子をかえって崩したり太ってしまったりしがちなので、この治療は有効だとか、もしかして彼女も試したことあるのかなと思いつつ、三人で明るく楽しい時間を過ごし、みんなでハグし合って別れました。兄弟がいないから沙耶さんがお姉さんのようだったとレビューに書いてありましたが、秋晴れの空のもと初めて会った二人がきれいな着物を着てさんざめいているのを見ていて健全な美しさと知性をとても感じました。多分二人とも一山ふた山越えてここまでたどり着いたのかもしれず、だからこそより深くこのひとときをいつくしんだのかもしれません。
沙耶さんが私のこの体験の仕事についてどんな記事を書くのか楽しみです。（私が写っている写真を使うのは怖い・・）