空港ピアノ 駅ピアノ

 世界各地の空港や駅にピアノがおいてあって、誰でも好きに弾いていいという番組を最近よく見ています。イタリア、イギリス、オーストラリア、オランダ、日本、各地に置かれたピアノを通りすがりの旅人たちが次々弾いていき、それを設置したカメラがずっと写していくのです。楽譜も読めないけどピアノが好きというコンゴの男性がとつとつと即興の曲を弾いて、内戦で家族もみな死んでしまったけど新天地で友達と頑張って行くと言いながら去っていくの見たりしていると、空港にはいろんな物語があるのだなあと思います。

 病院や介護施設に出入りしていると、売店などで高齢者用のおむつを買っていく人が多いのですが、「使い捨て」もだんだん重荷になり問題化してきて、特に高齢者の紙おむつは焼却ごみですが湿っているため燃えにくく、気候変動の要因ともなる二酸化炭素も排出してきて、製造販売する企業の社会的責任が問われると自覚したユニ・チャームは、使用済みおむつを回収しリサイクルして再び紙おむつとして製品化する世界初の技術を確立したそうです。赤ちゃんはおむつを使っていてもいずれ大きくなって自立していくけれど、おむつを使いだした高齢者は延々と使い続けていくこと考えると、ハイテクノロジーの技術は、人類を助けてくれるために本当に必要なのです。

 またユニクロなどを展開するファーストリテイリングではブランドの常識を変える事業が動き始め、人気のジャケットを回収し、より上質なダウンを作る方法を開発したと言います。「人類の永続的な繁栄に疑問符が付く時代だから、我々は使い捨ての服は作らない」と柳井正会長は言い切るし、気候変動、貧困、人種差別、難民といった深刻な地球規模の問題に危機感を持って関心を寄せています。

 日本の高齢者は長生きだよねとゲストに言われたことがありますが、最近日本という国は特殊なのかしらと思う時があって、今日の病院へ行く途中雨が降り出し、ゲスト用に傘を買うことが多くてうちに沢山あるので、小雨だから濡れてもいいかとコートのフードを被ってずっと道を歩いていたのですが、ほとんどの人が傘をさしていて、そういえば外国人は傘を差さないで濡れていく人々が多い、ロンドンとか雨が多いけどコートの襟を立てただけで歩いているのはちょっとかっこいい気がします。

 空港のピアノを弾くシーン見ても外国と日本はずいぶん違い、同じようなことしないと違和感持たれる日本と、それぞれ独立した物語を持つ外国では自分がやってきたこと、自分が思うことを自分の中で対処して考えて折り合いをつけて進んでいくしかないという切実さを物凄く感じるのです。

 今の私は病院通いばかりしているのですが途中にある成城石井で美味しいコーヒー買ったり、主人と病院の近くの千駄木の鰻屋さんで久しぶりに鰻食べたり、今日は傘ささないで歩いただけで外国人の気持ちになったり、単純極まりない話ですが結構楽しいのは、沢山のゲストと触れ合ってきた気持ちの余裕なのかもしれません。

 世界は今何かの変わり目で、地殻変動が起きている、何が起きるかわかりません。多勢につかずいつも自分だけを信じろ、そのためにはいかなる努力も惜しまずあらゆることを考え、辛抱して一歩ずつ歩め。やっぱりお釈迦様の教えが心に浮かびます。空港でひょいとピアノが弾ける実力を、気持ちの余裕を持ちつつ、混迷の日々を活きていきましょう。