26歳の振袖

 昨日はハードな一日で、朝八時に義母を根津の病院に連れて行き、11時に戻って昼ご飯食べさせてから1時に来るゲストを迎えました。午前中はずっと雨で着物で外歩けるか心配していたのですが、30分遅れで来たニューヨークに住む中国人の姉妹の着付けに手間取っていたらいつの間にか雨が上がっていて助かりました。

 グラフィックデザイナーで緑のロングヘアのベッティは紫が好きというので蝶柄の小紋揃えたら土壇場でボディに着せてあった振袖を着ると言い出し、20歳で着るものと説明したけれど強気の彼女は平気で緑のヘアもアップにして蝶柄の渋い赤の振袖を着こなしてしまいました。

 おとなしい料理好きのコニーはこれまた曲者で、ピンクが好きと言いながらなかなか決まらずとっかえひっかえさまよいながら最後はまた出だしに戻り、初めに選んだ着物にしました。中国の方は着物の選択が一番長い気がするし、ヘアも自分ではできないけれど写真を撮るのは大好きで仏教には興味がない、結構大変手間がかかるしいろいろ覚悟し気を付けなければならないこともあります。一応雨ゴート着せて傘持って柴又へ出発しましたが、面白かったのが強引で強気な姉ちゃんがだんだんしおらしくなり、振袖がやけに似合うようになってきたことです。アップにして簪や髪飾り付け、絹の振袖をまとうということは、自分で自分の道を切り拓いてニューヨークで生き抜いていく姉ちゃんにとって初めての感覚なのでしょう。着物の力というもの改めて感じましたし、帰りの電車の中で、日本人よりも外国人の方が着物姿がきれいなのは心から嬉しいと思いその感情を素直に出すからで、日本人は着物を着ても無表情になりがちだと二人に説明しましたが、今回ほど普通の服を着て現れた時と着物を着たときの姿の落差のあるゲストはいなかったように思います。

 寒くなってきました。とっておきのミンクのショールもそろそろ出しておきましょう。