帝釈天でのプロポーズ

 まるで映画を見ているような、現実かどうかわからないような光景でした。

イスラエルからのゲストは195センチのOrと145センチのガールフレンド、身長差が凄いのですが、15分前に到着してしばらく話してから着物選びにかかりました。紫やピンクの着物選んでいたのですが、彼のアドバイスで青い花の訪問着にして、彼もうちの一番大きい着物を着せましたが足が大きくて下駄が入らず、自分の靴を履くことにしました。あとからサンフランシスコに住む中国人の女の子と合羽橋で鍋や包丁を買い込んだマイクが到着、主人がいつものごとく長考の女の子の相手をしてくれ、無事みんな着付け終了、ティーセレモニーをしてから柴又へ行きました。Orは早くに来たので待ち時間も長かったし長いひげのお顔はちょっと怖くて、機嫌悪いかしら帝釈天を気に入るかしらと心配してましたが、小さいガールフレンドはとても気持ちの優しい温かい子で何とか楽しく道中過ごし、境内に入り身を清め本堂に上がって蝋燭を灯し、仏様を拝んでから回廊を通って庭園に入ろうとした時です。Orは突然ひざまずいて指輪の入った箱を彼女に差し出し、プロポーズしました。

 えーここで!わーどうしよう!彼女もびっくり、茫然としていますが、彼は彼女の指に指輪をはめ、かたく抱き合っています。拝観所の女性が見ていて出てきて拍手しているし、私は涙が出てきてうれしくてびっくりしました。だからOrは緊張してちょっと不機嫌に見えたのです。一世一代の男の勝負どころ。イスラエル人のプロポーズにうちの着物をきせられたこと、帝釈天で大丈夫だったこと(ユダヤ教だけどいいのかしら)本当に彼女がびっくりして嬉しそうで、もうなにもいえません。ありがたいことです。愛の力、純粋な愛の力。この仕事やっていて良かった。きれいな青いサファイヤをはめるため彼は青い着物を彼女に着せたのでした。そして195センチの彼は初めて自分のサイズにあった着物を着れたと言ってくれました。

 興奮状態が当分続きそうです。後日談は次回に。