母の退院

 落ち着いてはいるものの食事をなかなかとってくれない母の退院が明後日に決まりました。病院の社会福祉士さんが手配してくれた老健という施設へ移ることになり、この二日間家族面談で二か所回ったのですが、今までグループホームという認知症対象の家族的な小さいホームにいたので、老健を初めて見学して、いろんな部屋から車椅子の老人たちが現れ、ぐるっとテーブル囲んだり処置してもらったりしているのを見て、近未来のロボットが暮らす世界のような感じがしてきました。食事と排泄と清潔と睡眠がとれるようマスクした沢山のスタッフが的確に動いて意思のない老人たちをさばいていくのを見ていて、デイサービスに行きだした義母の呆けぶりが著しいのですが、確かにこういう空間にずっといるにはプラスの感受性もマイナスの感受性もなくなっていくのかもしれません。

 認知症の方がいるフロアに行った時、そこにいらした女性が切なげにずっと私を見ていたのが印象的で、ここにはまだ感情があってほっとしました。テレビのコマーシャルでC型肝炎の検診を受けよと、医者を先頭に沢山の高齢者が列をなして無表情に進んでいくのを放映しているのですが私はハーメルンの笛吹きが笛を吹きながらネズミを集めているシーンを連想してしまいます。いつも自分で考え感じていなければ私たちはいつかそのまま海へ飛び込んでしまうことになってしまうかもしれません。

 二日かけて二つの老健を見学したのですが、結局母はあとに行ったちょっと古い小さめの老健に入ることになりました。看取りまでここで暮らします。そして今日は香港からのゲストが来ます。最近ポケトークの普及で、ボランティアの通訳やっている方も暇だとか、エアビーの体験もとても増えてきているので私のサイトにたどり着くのも大変だとゲストに言われました。オリンピックまで暇なのかもしれないし、それはそれでよい気がします。そうすると日本人の方からの着物依頼があったり、またたくさんの着物いただいたり、違うご縁が出来ていくのです。あとわずかの12月、でもどうなるかまだわかりません。今朝は物凄くもやっていて、先が見えませんが気を付けて少しずつ前へ進んでいきましょう。