ママはドラえもんが好き

寒い日に暖かいインドネシアから来たママと二人の息子ちゃんは淡々と現れ、楽しそうに帰って行きました。日本で働いているジョゼフ(左 午年)のところにママと弟(亥年 オタク)が遊びに来たそうですが、英語がよくわからない落ち着いたママは喜怒哀楽を出さないし、息子ちゃんたちは男の子で可愛さには欠けるし、どんな塩梅に進んでいっけばいいのか探りつつ着物を着せました。弟君は着物着て写真撮るとつまらなそうにしているのでこれはいかんと話しかけたら、日本のアニメはほとんど知っているし茶道にも興味があるようなのでそっち方面で攻めることにしました。(後でお茶点ててもらったら完璧にできた!お土産にお茶椀上げました)お兄ちゃんは人はいいんだけど落ち着かないタイプ(午年の特徴、私もそうです)で、でも何とかママと弟を楽しませなければいけない使命感はあるのです。

 ママは私とサイズは同じなのですがタートルネックの下着を脱がないので襟を抜くことはあきらめ、私の紫の小紋を着せ袋帯を締め、縞のちょっと変わった大きい道行に最近もらったキツネの襟巻をかけ(多分高い)金満家の奥様に変身、お供二人従えて柴又へ出かけました。電車の待ち時間が長く、英語も日本語もあまり通じないのに頑張って話しながらいつものコースたどりましたが、ママの好きなものを聞くと「ドラえもん、どら焼き」というので駄菓子屋さんにまず入り、ドラえもんグッズを色々見て(でも買いませんでした)から、食べるものを買いだし、さくらどら焼き、申まんじゅう、ミカン大福、佃煮たくさん、と火がついてしまいました。帰り団子屋さんで桜団子や揚げまんじゅうを御馳走したら喜ぶし、豆板のお菓子買った時お店のご主人がインドネシア語で「テレマカシ ありがとう」と言ったのに喜んだり、今日は食べていることが楽しい日でした。

 帰りのホームでママが息子に彼女がいないから日本の女の子でいい人いないかしらと言っていて、ママは中国とインドネシアのハーフだそうで、そういえばピュアなインドネシア人ではない感じだし、ちょっと不思議な親子だと思ったわけもわかりました。

 夕飯は何がおすすめか聞かれ、寒いから寄せ鍋でも食べればママの好きなうどんも食べられるしといったのですが、どうなったでしょうか。ママが私の着物すべて着てくれて、自分で着るより嬉しかったのは何でかしらと思いましたが、着物の品の良さ、絹の風合い、模様の面白さなどなどそばで見ているのが嬉しかったし、残念ながらママの方が綺麗で素敵だったことも素直に認めております。キツネの襟巻も入れて、本日のお仕度、50万円でございます。来てくださり、着てくださって、本当にありがとうございます。