閻魔様

 昨日母の葬儀をしました。家族だけの一日葬でシンプルでしたが、前日の納棺の儀も立ち会って丁寧に清めていただいたのを見て来たので、母が施設や病院やそして葬儀の前にも皆さんに丁寧に温かく接してもらえたというのは本当に幸せなことだとつくづく感じています。冷たくなった体を丁寧に洗い、髪を洗いドライヤーをかけ、お化粧してチョコレートピンクの口紅をさした母は綺麗でした。職業とはいえ、綺麗な担当の女性に大事に扱われていることを有難く思いながら母の死に装束を付ける手伝いをし、六文銭を袋に入れ、足を持って係の方と棺に入れ金剛杖を持たせて、持ってきた着物や帯、帯締め、コートを入れて支度が出来ました。本当に長いこと母の世話と介護をしてきて、でも決して苦痛ではなかったし、いろいろな段階でたのしいこともありました。でも最後死に水を取ったのは弟と私と夫で、知らせて泣いたのはやはり介護している仙台の従妹と施設の方と看護師さんでした。

 音信不通の姉が葬儀には現れ、自宅で骨折して救急車で運ばれてから母のすべての家財道具を捨てた嫁は冷ややかに佇み、でも久しぶりに会った孫たちが母の思い出を語り合い、そして喪主の挨拶で弟が今までで一番悲しいと声を詰まらせていたのが救いでした。嘘をつき通しの姉はそそくさと立ち去り、母の遺骨は久しぶりに自宅へ戻り祭壇に飾られました。納骨まで母はここにいます。次女にけなされたピースサインして笑っている母の写真を見ながら嫁は線香をあげてくれるのかしらとも思いますが、こうなると破顔一笑の母の顔は武器です。死ぬまで幸せだったか、毎日楽しく過ごせたか、天国行くか地獄行くかはそれが境目だとか、どこにいても感謝しながら明るく歌を歌いみんなを気遣っていた母が幸せであるように私は頑張ったし、夫も助けてくれ、弟には入退院を繰り返すころからかなり負担をかけました。無事ここまでこられて本当に良かったです。嘘をついたり、人を苦しめたりすると、地獄の閻魔様に舌を抜かれると小さい頃教わりました。魑魅魍魎達の毒はもう弱ってきています。破壊と再生。まだ残っていることを一つ一つこなしていきましょう。