3 Girls

 お彼岸のお寺の法要が中止になり、高校野球もやらなくなったとか、大手の民泊もやめたがっているとニュースで言っていました。スーパーで会った知人が「外人さんさすがに来ないでしょ」と聞いてきて、いや少しですが来ています。一月に予約してきて、サイズとか後で知らせると言ってきてそれっきり連絡ないゲストがいて、イギリスから日本に来られないんではないかと思っていたら、本当に直前にこれから行くと知らせてきました。女の子の名前で三人来ているのですが身長高いしがっちりしたサイズだし、うん?もしかしてとは思っていました。みんな20代前半なので振袖着たがる気がして、とにかく大きい振袖を揃えました。電車を間違えたようで、10分遅れで到着した彼女らはパステルカラーのふわふわっとした可愛い洋服を着て、可愛いヘアバンド、ポシェット、まあ春爛漫です。七人兄妹だという姉妹、175センチある優しいお姉ちゃんはダウン症なのかしら、顔がとても小さいのですが黒髪を黄色に染め、さえずるように早口で話します。妹さんは普通サイズなのですが輪をかけて早口で聞き取れず、ちょうど羽織や羽裏を届けに来て下さった柴又の方が助っ人で手伝ってくれて助かりました。さて最後の一人、名前が発音できなくて覚えられず、Hey!と声かけていたのですが、時々He と言ってしまいShe と言い直すのだけれど、やはり骨格がしっかりしているので次女の振袖も短めでウェストベルトが見えてしまうのですが、何とか助っ人さんに着せてもらい、草履も私のでは少し小さいのですが頑張って履いて、さあ柴又へ出かけました。三人は宮島、広島、尾道、京都、長野と回ってきたというので、閑散とした帝釈天はどうかなと思ったのですが、大振袖着た姿は豪華できれいで、特に池での反応が面白く随分写メを取っていました。髪の毛さらさらの二人の髪飾りが落ちてしまうのを何回も留め直し、ウェストベルトが見えそうなのは私が前に立って隠し、時々「顔小さい!」と知り合いのお店の人に声かけられると「ん?」と思ったのですが、そういえばお姉ちゃんも彼氏もちょっと違って見えるのでした。でもうちの着物を着せた時点で彼女らは私が守るべき愛すべき子たちなのです。お団子二本ずつ、イチゴ大福、どら焼き、ワサビスナック、ガーリックスナック、あんず、それにスターウォーズオタクの彼は私にはよくわからないフィギュアを買い、ご帰還、働いてはいないようですが、結構裕福見たい。プレゼントの着物と半幅帯もとても喜んでくれて、特にお姉ちゃんは大きくてたっぷりしているグレイのてまり模様の紬がぴったりで八掛と同じ色のリバーシブルの半幅帯を選びさすがでした。適材適所、なかなかもらわれていかなかったこの着物が遠くイギリスに旅立てるなんて、嬉しい限りです。そういえばこの前来たカナダの姉妹のお母さんに、白洲正子さんが昔経営していた銀座の工芸というお店で多分作った紋付きの青い羽織を差し上げて、あとで一家の写真がgメールで送られてきたのですが、きれいで若々しく品のいいロングヘアのおかあさんで、大丈夫着こなせるとほっとしました。

 考えてみると私はいろいろ怖ろしいことをしています。貴重な高価な着物を頂き、ご縁のある方のもとへ届ける、申し訳ないくらいありがたいことです。イタリア語講座のナビゲーターがシチリア島の養蜂所へ行って初めてなのに蜂とコミュニケーションが取れてそこのオーナーが蜂に信頼されていると驚いていたのですが、私も着物と、着物を着る外国人とコミュニケーションが取れるのは、やはりそこに全幅の信頼関係があるからかもしれません。私の心はいつも穏やかなのです。