フィンランドからのメール

 おととしの四月に娘さんとフィンランドから着物体験に来てくれたシシリー島生まれのGaetanoさんが、日本の現状を心配してメールをくださいました。

A pandemy is sweeping our world and soon Finland will have to deal with this coronavirus. I know that Japan is already fighting for health. Arianna and I hope that you and your friends are well. Please watch on your public life and take care to avoid unnecessary physical contacts with people because the virus often hides in "health" looking people.Wishing the very best to you.
 ありがとうございます。彼はイタリア人らしく情熱的で温かい男性で、今までもGod bless youなどど書かれたメールを送って下さり、私は感激してしまったのですが、実はオーストラリアからのゲストの問い合わせでも、テレビで日本の様子を悲劇的に報じているとあったので、皆さんずいぶん心配して下さっているようです。そういえば東日本大震災の時も、日本中が津波に飲み込まれたと思った外国人が大勢いたし、自分達も含めよその国の情報を正確に知ることは難しいものです。
 フィギュアスケートの世界選手権も中止になり、ほっとしているのですが、いろいろなことが欲や得で動き、正義も信も義も失った者たちが我が物顔で世の中を仕切ろうとしていた今、そのひずみがマックスに達してこのコロナウィルスが出てきた気がします。 何が正しくて何が正しくないか、それを問わないで派生の事柄ばかりつつき、また人を苦しめ貶める人々も、平等にコロナウィルスの脅威にさらされているのです。羽生選手が中止を受けて出したコメントが非常に的確で「選手、観客、スタッフへの感染のリスクが少しでも減ったことに安堵する気持ちもある。このような状況の中で選手にギリギリまで尽力してくれた国際スケート連盟に感謝すると共に、改めて新型コロナウィルスについて、感染について考える機会が出来たし、このような対応がなされたからこそ、より一層注意を払って生活していかなくてはならないと思う。来シーズンに向け、今の限界の先へ行けるよう練習していく」
 すべての人々の正念場でしょう。めぐみさんを拉致したものも、ミサイルを撃ち込もうとする者も、核兵器を持とうとする者も、全ての人間に対する等しい試練、punishmentが与えられています。  強いのは、こういう場面を数限りなく味わってきた経験値を持つ人でしょう。傷つけた者よりも傷つけられた者の方が有利だという不思議さ。どんなにひどいことをされてもそのことを考え続け、その上を乗り越えることで見たことのないものを創り出す努力をしていけばいいのでしょう。悲しみや失意、絶望、苦しみの引き出しが多ければ多いほど、それはこういう非常事態での癒しになり新しいものを作り出す起爆剤になるのです。これまでと同じ生活や人生にならなくても、失うものがないものにとって怖くはないのです。ただ温かい気持ちを持って、自分の武器を使い進んで行けばよいのです。すべてのものに対する新しい見解とは何なのか。自分の人生に確信をもって、いろいろなものを俯瞰して見ていくこと。
 フィンランドからのメールの最後はこうでした。May God bless your nation.