新しい価値 New value

 エアビーが再開する四月三十日迄に紹介文を変えようと思います。これまでと、これからは違う。本当に私たちは今すごい裂け目にいます。

 一月に母が死んで、主人の大事な友人が亡くなって、一つの区切りがついて、そして今世界の大変動が起きている。でもどうすればいいかはわかっているのです。大事なのは新しい価値を創るため強固な意志を持って誠実に取り組んでいくこと。明らかな意志を持って、悪を徹底的に抹殺すること。

 今ブログの整理と見直しをしていて、エアビーアンドビーを始める前までの2017年を振り返っていました。民泊ホストをしていた方からの紹介の外国人の着付けをしていた頃です。その時のブログに、外国の方に着物を着せて日本文化を味わっていただくのは美学でなければならないと書いてありました。今までと違う空間を味わうこと、それは違う国にいって異なる価値観を学ぶことであり、そうすることで自分の美学がわかってくる。このことは私が考えていることだと思っていたけれど、今気が付いたのは美学を探してきていたのは外国人の方でした。私は勘違いをしていた。美学というか、自分自身の大事な所を使える何か、これに対しては誠実でいられるというもの、自分の価値観。それは彼らの求めているものでした。私の仕事はそれを手伝うことでした。

 これからどのように体験を組み立てていけばよいのか。自分にとって何が面白いかを探すための物差し、それを持つには「時空」が必要だとありました。時間は歴史を学び、未来を考えること。私の中でかけている歴史観は今ゲストと話すとき痛烈に感じることですが、このようにコロナ旋風が吹き荒れている時も、大事なことは時空をしっかり把握し考えることでしょう。努力して何かをするときに、自分の世界観の構築、確立が必要不可欠なのだろうと改めて今思います。頑固にストイックに自分の世界を創り、そこに向かって井戸を掘り、何かを積み上げていく。困難があろうと非難があろうと、それすら糧にして、ひたすら集中して、頑張っていく人たちがいるのでした。

 娘を含む若い世代が一生懸命前に進んでいっています。不安だし迷うし大変だろうなと思いますが、何かをつかんでそれを表現しないではいられない衝動を持てるというのもまた一つの宿命なのでしょう。混迷の世界、どこに向かって進んでいくかわからない中で、確固たる自己とおのれの感性をよりどころにしながら進む、娘の着物の作品たちに敬意を表します。人とのかかわり、ものとの関わり、着物とのかかわり、目に見えるもの、見えないものがあらわれていること、そして何よりもモデルさんたちが着物着てる喜びに溢れてることが本当に嬉しく、ありがたいことです。

 「自分が見定めた対象と全面的に関わり合うこと、そのコミットメントの深さが大切。この深さがないと、深さを支え切れるだけの胆力がないと、どこへも行けない。」対談集”ミミズクは黄昏に飛びたつ”の中にあった村上春樹の言葉です。

 「私は着物というのは決して持ち主のものではないと思う時があります。意味を持った着物をお着せした時の輝きは恐ろしいくらいものがあるし、その意味をしっかり受け止められる力量を持った方が、着て下さるのです。一期一会はお茶の世界だけでなく、着物の世界にもあるのでしょうか。昔の銘仙をインドネシアの女性が着て、あでやかに颯爽と歩く、これは着せる側の着物の感性が非常に問われるものだと思っています。着物を着るだけでこうやって表現ができること。これからの着物業界に必要なのは、感性と文化ではないでしょうか。」娘の着付けの仕事を見た時のブログにこんなことを書いていました。これからエアビーアンドビーを始めてからの350のブログを振り返りながらまたヒントを探していきます。エアビーアンドビー停止のこの30日間、今まで来たゲストとも連絡とり合いながら新しいやり方を探していきましょう。