異次元ワールド  Different dimension world 

 フランスから新婚旅行で来たゲストのアンソニーは画家で、柴又帝釈天の絵を描いて後で航空便で送ってくれました。ずっと玄関に飾ってあったのですが、ブログに載せようと人が誰もいない静かなお寺の本堂を描いた絵をじっと見ていたら、これは世界中どこにでもつながる入り口ではないかと思い始めました。ドラえもんの”どこでもドア”みたいに今まで来たゲストの家につながっていて、私が彼らのことを考えてこの絵の前に立つと、パリのアパルトマンでも南フランスのバイヨンヌでも行けるのではないかという気がしてきました。

 これまでたくさんのゲストといろんな出会いをしてきましたが、アンソニーとマジョレーヌとは体験の後も会う機会があり、本当に印象深いカップルなのです。二人とも背が高くスマートで、着物を着て髪をアップにした彼女の襟足にそっとキスをしている彼の姿は今でも鮮明に覚えていますし、フランスではへたな歌を歌うと雨が降ると言いながら上手ではない歌を歌うアンソニーのことを笑いながら、私がピアフが好きだというとすぐ”水に流して”を綺麗な声で歌ってくれたマジョレーヌは、本当に素敵な女性でした。

 今コロナウィルスは世界中の人々に襲い掛かり、富も権力も関係なくあらゆる人が平等に自分のことを自分で守らなければならない状況に陥っていますが、そんな時気持ちの支えになるのは人のために尽くせるか、人を愛せるか、正しくあるかということではないかと思います。エアビーアンドビーのトップからもいろいろなメッセージが届いていて、何とかこの危機を乗り切ろうということですが、私の体験にしても、着物を着てティーセレモニーをしてお寺を散策するということをコロナウィルスが終息した後でまた同じようにできるかというのはわかりません。

 私たちは、すでに異次元の世界に入ってしまっていて、同じ過ちはもうできないのです。唯一AIが担えない社会のニーズをくみ取る共感力とか問題解決のために何が必要かを探る提案力や人の幸せとは何かと考える感性を持っている人たちが、これまで私の体験に来て下さっています。これから生きていくためにどのような価値を創造していくか、ということを考えられる異なる感性を持ち同じ状況にある海外の方々と過ごすチャンスを持って行くための体験ができるなら有難い。

 アンソニーの絵の帝釈様は、異次元ワールドの入口になっていくのかもしれません。