眠狂四郎

 レンタル着物業界で唯一扱えない着物が喪服で、私も20枚位頂いて持っていますが、ゲストに着せることもできず、アレンジして加工することもできず、いい生地のいい着物なのにもったいないとずっと思っていました。朝の子供番組で、振付師のラッキー池田さんが黒い着物を着て踊っているのを見ていて、「市川雷蔵の眠狂四郎みたい」とふと思って、そうだ、喪服に大きい紋を貼りつけて男物のようにしたら着流しのように着れるのではないかと気が付き、久しぶりにボディに着せてみました。女物だから身八ツ口も開いているし袖も少し長いけれど、まあいいかと思って帯締めて刀さしたらかっこいい!何よりも喪服感がなくなったのが嬉しいのです。日本人に来てもらうのは難しいかも知れないけれど、黒澤明とか日本映画大好きなオタク外国人も今まで来ていたし、もしかして着てもらえるかもしれないと思ったら久しぶりに心が晴れやかになりました。

 コロナで三月の半ばから全くゲストが来ていませんが、七月から再開すると会社から連絡はあったものの、ゲストとは十分な距離をとり、まめに手を洗い、なるべく室内は避ける、マスクやフェイスシールドを付けるなどいろいろ注意事項があり、これでは着付けもお茶もできないのではないかと思っています。何よりももし感染してしまったら、周りの人たちや柴又の方々にも迷惑をかけてしまうし、普通の仕事と違ってエアビーアンドビーを通じてゲストが来るということが、今まではありえないくらいラッキーだったけれど今はただ怖いという気がしています。今回新しく、日本に住んでいる外国人のためにフライヤーを作ったので、信頼できるルートを通して配っていけばいいし、今までもたくさんの皆様から頂いた着物を着てもらってきましたが、これまで日の目をみなかった着物たちも着てもらえるよう新しい発想で文化を見直していきたいのです。顕在意識から潜在意識への転換が、この前の日食以後、私たちが考えなければならないことだそうですが、喪服ー貼り紋ー眠狂四郎という潜在意識のもとにたどり着いたこの着流し姿、私はカッコイイと思っています。何よりも心が弾んで、楽しくなっています!