鬼滅の宴

 昨日、着付けの練習用の振袖を取りにやってきた娘は、去年の十月に、今をときめく鬼滅の刃のスペシャルイベントの声優たちの着付けの手伝いに行っていて,その時のDVDや朗読台本などがセットになった完全生産限定版をもらったそうで、しばらく貸してくれることになりました。二日前の新聞の一面に全面広告で映画などの予告の広告が載っていたり、テレビでも放映されたし、凄い人気です。でもしっかり見てみると鬼が首切られて血が吹き出たりする残酷なシーンも多いし、ネットに「これは子供にはふさわしくないアニメだ。ドラえもんやアンパンマン、クレヨンしんちゃんを見ればいいのに」という投稿があって、ちょっと笑ってしまったのですが、それにしても今のこの時に、出るべくして出たアニメだという気がします。子供であっても、腹を据えて見なくてはなりません。

 DVDに添えられていた分厚い台本読んでいたら、ドキッとする言葉も多くて「努力は日々の積み重ねだ、少しずつでいい、もっと前に進むんだ」「努力はどれだけしても足りない」「奪うか奪われるかの時に、主導権を握れない弱者は何の権利も選択肢もなく、ことごとく強者にねじ伏せられる」「泣くな、絶望するな。怒れ。許せないという強く純粋な怒りは手足を動かす為の揺るぎない原動力になる」「真っ直ぐ前を向け。己を鼓舞せよ」「極めろ。泣いていい、逃げてもいい、ただ諦めるな、信じるんだ。地獄のような鍛錬に耐えた日々を。お前は必ず報われる、極限までたたき上げ、誰よりも強靭な刃になれ。一つのことを極めろ」「集中しろ、呼吸を整え、最も精度が高い最後の型を繰り出せ」「傷ついても、傷ついても、立ち上がるしかない。どんなに打ちのめされても、守るものがある」「失っても失っても 生きていくしかない。どんなに打ちのめされても、守るものがある」「努力すれば昨日の自分より確実に強い自分になれる。勝ちたいと思うお前は弱くない。心を燃やせ」「胸を張って生きろ。己の弱さやふがいなさにどれだけ打ちのめされようと」

 世の中にはびこる鬼、自分の中の鬼は、これらの言葉の持つ深さに耐えられないし、理解もできず、易き道に走り、人を傷つけることのみにより束の間の快感を得ようとしてしまいます。これは架空の話ではなく、それこそ横田めぐみさんは鬼にさらわれて何十年も帰ってこられないのです。今年は悪があぶりだされて、制裁される星回りだそうです。どうなるかわからない世界情勢、気候変動、天変地異。鬼滅の刃がこうやって表舞台に立っていることの意味を考え続けなければなりません。

 DVD見ながら、主人公の炭治郎が妹の禰豆子を鬼から守ろうとするシーンで、声優の花江夏樹さんが衣装着て絶叫している声を聞いて、涙が出ました。みんな本気なのです。