コロナ禍の日本へ…御年97歳!茶道裏千家、大宗匠・千 玄室さん「ウィルスより怖いこと」

 昨日はあまりに寒くて、着物を着てお茶を点てることもできなかったのですが、今が一番寒い時期なのだから、我慢して耐えて凌いで、暖かくなる春を待ちわびればよいのでしょう。今はYouTubeが全盛で、料理でも着物でも茶道でも、色々なサイトを見て勉強することが出来ますが、今年は本格的にお茶を点てようと思っている私にとって、ユーチューブの茶道の動画はありがたいものです。待合室に電器の風炉釜を置いて簡易畳を敷いて着物着てお点前をしていると、前習ったいろいろなことを思い出しますが、足りないことだらけだからできない事はしないと諦めて、できることだけやっていこうと思っています。

 婦人画報に千玄室大宗匠のインタビュー記事がのっていて「みんな怖がっているコロナウィルス、これは人間が原因を作っているんです。科学文明の発展は生活を便利に良くしたけれど、人間をおろそかにしてしまった。人倫、道徳の道に外れるから、コロナが蔓延する。クラスターが起こっているのに、自分は大丈夫だという手前勝手な思考が色々なことを起こすのです。おもてなしと言いすぎずに、自分でお湯を沸かして、お茶を点てて、どうぞと出せばいい。木も土も息をしているのに、掘り返したり傷つけたり。病魔よりもっと怖いのは、人間が人間を殺してしまうこと」とありました。

 海軍の特攻隊に配属され、仲間はみんな死んでしまった体験を持つ玄室氏は戦後世界中を回って茶道の心を伝えてきたのですが、95歳の今、世の中は非常に危険な状態になっていて、コロナウィルスも人間が原因だし、自然を傷つけたり、人間同士殺し合いをしていると嘆いています。ステイホームで見ることが多くなったテレビでも映画でも殺し合いの場面が多いし、密になって戦うシーンを見ていると、コロナ以後はこんな撮影できないだろうけれど、こういうものを作る意義が果たしてあったのだろうかと考えてしまいます。食事をしながら、殺しの場面の続く探偵ものを見ている不自然さに気づかせてくれたのはコロナでした。

 今私たちは何に苦しんでいるのでしょうか。前のような傍若無人な生活が出来なくなったことに苦しむ必要もないし、今まで行って来た殺戮や残虐さを振り返らなくてももういいのです。何かを守るため止むを得ず戦って勝ったとしても、また犠牲者が出るサイクルを閉じさせることが出来るものは、何なのでしょう。苦しみから逃げることなく、苦しみを凝視することで開ける本当の幸せの道とは、本当の幸せを求める心とは、もう別次元のものなのかもしれません。人間が他の人に分け与えることが出来るのは、自分の希望だけである。そんな言葉を見つけました。「私たちは今必死で戦っている医療従事者の方々の目の前に広がる暗闇に、光となって灯ることが出来るように、希望と決意を持って今を生きて行きます」というメッセージもありました。

 昨日、イギリスで修業した美容師の寛子さんに、カットしてもらったショートヘアをブリーチして、何十年と染め続けた白髪染めを取ってもらって鏡の前に座ったら、ロックバンドのONE OF ROCKのボーカル君のような色の頭になっていてビックリしましたが、いや、なかなかイケています!でも、十日後に母の一周忌もあるのでヘアカラーして無難な色にしてもらいましたが、これから髪を洗うたびに色が抜けていくそうで、どんなヘアになっていくのかわからないけれど、着物を今までと違って着ることができる気がして、可能性が広がっていくのかもしれません。夕方には、近所の方から浴衣やお祭りの着物、市松人形、勧進帳の羽子板、凧などたくさんいただき、早速飾ったら、デイサービスから帰ってきた義母がそれを見て喜んでいました。これも希望なのです。ほんの少しの心が、他人の希望や光になり得ることを、私たちは今考えなければなりません。何かを突き詰めて精進していけば、苦しまないで進んで行けることを、皆が教えて下さいます。