人間の原点   ボヘミアンラプソディー

 このところ、クイーンの映画「ボヘミアンラプソディー」のテレビ放映が二回あり、録画して何回も見ています。夫は封切りされてすぐ映画を見に行き、音楽は凄かったけれど、ゲイのシーンが重かったと感想を言っていたのですが、私も同じで録画を見ていて重いシーンになると、一回お休みを入れて見ています。才能のある人間が素晴らしい音楽を作り上げ、それに多くの人が酔いしれ感動する、表だけ見ていたらいいことばかりの世界だけれど、その裏には壮絶なまでの苦しみや孤独、泥沼があるのです。でも、何もない平凡な人生がいいと言って居られたのはコロナ前の事、時代の転換期、未知の領域に入った私たちにはもはや、何もない平凡な人生は存在しなくなってしまった。何がどうなるかわからない時代であればなおさら、自分に正直に生きるしかないと思うし、スポーツ界でもカミングアウトする選手が増えてきて、何とも言えない気持ちにもなります。

 昨日は、コロナで延期されていた結婚式に出るという美容師の寛子さんの着付けに行き、二時間限定、アルコールなしとはいうものの、そうやって普通に結婚するカップルもいるし、男性同士愛し合うカップルもいます。本当に、いろいろあるなと思うのですが、自分が生まれ持った肉体も引き継いだ性格も育ってきた環境にもすべてに意味があって、その背後には祖先の愛があり、大切なのは自分ではない何かになろうとするよりも、本来の自分に立ち返って自分のDNAや潜在意識に眠っている生まれ持った資質を育てていくことで、それは先祖から受け継いだものなのだというのです。

 そうすることで人生は美しい芸術作品のようにかけがえのないものになるし、遺伝子レベルで受け継いだ可能性をとことん発揮していこうとする潔さを持ち、蓋をしておきたい自分の過去も振り返ってみれば魂の成長に必要なプロセスだし、過去を振り返る闇を光に置き換え、自分のたどってきた道を肯定し、人生を堂々と生きて行くことが、大事なのでしょう。

 残念ながら、私たち親世代は生きるということを心底考え、深く感じることを経験してこなかったから、やみが押し寄せてきたら簡単に屈してしまうくらいの土台しか持っていないのです。それに引き替え今の若い世代は、これから際限なく苦労し、そしてコロナとともに生きることを考えて、努力していかなければなりません。

 今、世の中で頑張っている人の中には、孤独で偏屈で忘れたい過去を背負っている人達がいるけれど、彼らは人との関りや時間の尊さを大事にしていて、自分だけの力で生き抜いていくには何が大事かということを知っているのです。汗水たらして働き、食べ物を美味しく食べ、自分の中の感情をきちんと整理して向き合い、どんなに厳しい状況も我慢する。それが傍から見て、どんなにマイナスなことであっても、それこそが前に進む原動力になり、人々を励ます力にもなるのです。

 

 寛子さんの家には、彼女の過去やオーラがあり、着付けしながらそういうものを垣間見るのは面白かったし、刺激になりました。人間の原点とは何か。これから生きていく上で、とことん大事なのは、先祖を敬い大事にし、全ての事から学んでいこうとする明るい気持ちと、屈託のない笑顔、そして愛情かもしれません。さっき、夫に頼んでボヘミアンラプソディーの映画のサントラ盤を楽天に注文してもらいました。クイーンをガンガンかけながら、夏の着物を着ましょう。