レジンの帯留め

 母が何回も入院してお世話になった病院の看護師さんのお嬢さんが、レジンのアクセサリー制作販売をしていると聞いて、帯留めにもなるというので一つ購入し、早速ボディに着せてあった着物につけて見ました。今喪服の黒い帯に布を被せてアレンジして使っていて、この着物の後姿はあやさんのお母様から頂いた赤い絞りにレースの縁取りをした大判のハンカチを付けて華やかにしたものなのですが、前はシンプルに黒の地紋だけが見え、それに桐の箱に入っていた未使用の佐賀錦の帯締めを締め、レジンの紫の帯留めをつけました。いろいろな所から寄せられた着物や帯や小物が、レジンの帯留めを付けたことで一つにまとまっていきます。透明感のあるつややかな質感が特徴のレジンは、英語で「樹脂」を意味していて大きく分けると天然樹脂と合成樹脂があり、レジンアクセサリーで使用するレンジ液はプラスティックなどと同様の合成樹脂にあたるのだそうです。

 骨折したり、持病の心臓疾患が悪化したりで、何回も入退院を繰り返していた母は、なぜかいつも病院で人気者になり、大好きな歌をリハビリ室やナースステーションでも朗々と歌って、拍手喝采されていましたが、そんなことをみんな知っている看護師さんのお嬢さんと、こんな形で関わるようになれるなんて、ネット時代というのは弊害もあるのでしょうが、メリットもずいぶんあるものです。

 お嬢さんのインスタに私の着付け処「東風」がレジンの帯留めを購入して写真を送ってくれたと載り、もっといいものを作れるよう頑張ると書かれていて、コロナ禍で動けない中、皆それぞれの明日を探しながら、何かを作り出していこうという気持ちは本当に大事だと思うのです。

 この着物の写真の中に、沢山の物語があります。