生き甲斐

 このところ夜、鬼滅の刃がテレビ放映されていて、濃いい内容に圧倒され、朝会社に行くのが大変だと、ネットに出ていました。夜のゴールデンタイムなので、他の番組が視聴率下がっているとありましたが、本当にこのアニメをみていると、心にずしっと来るものがあります。パラリンピックもそうでしたが、最近思ってもみないところから、これから生きて行く上での指針や気概が提示されてきて、驚くばかりです。コロナ禍ですべてがストップして、心も気持ちも淀んでしまっている時に、新聞記事やネットから得られる情報や、若い方たちの行動をきっかけに、止まっていた私の着物たちも動き始めました。

 今日は、この夏全く着られなかった浴衣たちを片付けて、秋物の着物を出していたのですが、頂き物の本塩沢の地味な色合いの着物は、いままでどんな帯を締めてもくすんで見えてしまい、着るのが楽しくなかったのです。でも、ヘラルボニーの八重樫さんのハンカチを使ったら、力のある着物姿になるかもしれないと気が付き、早速試しています。

 喪服の帯が使えるようになったので、黒い着物の方も何とかできないかと考えていたら、前に着物デザイナーのキサブローさんの「玄虹日を貫く」というプロモーションに、”百色を混ぜて、黒も生み出せる。今こそ虹の再解釈の刻 七色ではない 黒い虹を架ける 混沌とした浮世に 玄虹日を貫く”というフレーズがあったのを思い出しました。黒は単なる黒ではない、全ての色を併せ持ったものなら、ヘラルボニーの八重樫さんが半世紀ずっと描き続けているデザインのカラフルな色は、全部黒い着物の中に含まれているのかもしれない。これから、やっていくことが見つかりました。多分、コーディネートしても、それを着て外へ出ることはできないかもしれないけれど、やれることをやってみて、そしていろいろな場所でアングルを変えて写真を撮ったら、きっと着物の存在を確かめることが出来るような気がします。私は着物が好きです。ここに寄せられてくるすべての着物たちに、限りない愛情を覚え、何とかして着る人が喜び、着物が喜ぶ出会いを作るため、努力してきました。700人の外国のゲストが着物を着て喜んでくれた、その美しさはすべて私の心に残っています。そしてこれから、コロナ禍の束縛の中で、今までと違う何かができる、予感がしています。若い方々の能力や感性、そして耐える力、胆力、それこそ鬼滅の刃の炭治郎や煉獄さんの精神に共鳴できる力は、私たちにはないものなのです。

 私にできる着物というツールを深めていくことで、彼らと交流していくことができるよう、頑張って行きましょう。