Arima ni Koi San

 This time my challenge was to use kimono to evoke the world of Hanshinkan Modernism, and specifically for the character Koi san, protagonist in a new film, played by young actress Heima Rokka.

シーラさんが外国のサイトに寄稿した今回のプロジェクトに関わったことを寄稿した外国のサイトの文章をよみました。Targeting a European audience,the films will show the resort area as  a destination in the production of Hanshinkan Modernism, an art and cultural movement in the early 1900s to 1930s that grew up in the Kobe and Osaka region of  Japan. From its inception,the movement reflected the influence of the thriving community there, and  interaction with Japanese culture.

 シーラさんはイギリス人、そして有馬温泉の山荘の経営者の奥様はモロッコの方で、お二人とも日本にずっと住み、日本について、日本文化について、沢山学び研鑽を積んでいる方々です.Though I have previously done  much kimono styling, most of it has been to please myself, or for fashion shows where I have chosen the theme. This time my challenge was to try to evoke the world  of Hanshinkan Modernism for the director, and specifically for the character Koi san, who is a modern girl in an old and aristocratic family. Though the family is no longer wealthy, they maintain pride in the standing that they once had. 外国人のシーラさんの着物姿や着物文化に対する考え方の深さは、日本人以上に素晴らしいと私には思えます。自分のために着ることと、時代や脚本に沿ったスタイリングをするのは、コンセプトが根本的に違うということを私たちはあらためて肝に銘じなければならない。国家間の軋轢、民族、宗教、様々な要因のもとに、国際紛争は解決の方法すら見つけられなくなっています。そんな中で、異国人のシーラさんやラミアさんが日本について学び、考え、悩みながらスタイリングして”有馬に恋さん”を作っていったことは、それをすることに、他文化を理解することに、根本的な世界平和への糸口があると思っている気がしています。ヒロインを演じた女優さんが、最後にシーラさんに渡した手紙。It said "thank you for letting me use your kimono. I discovered the most beautiful me I have ever seen wearing them" 着物とは、時代があり、人間がいて、日常生活があり、日々の感情や情熱の中に在るもので、それを理解していないと、生きた着物姿にはならない気がします。私たちは、もっともっと世界を知らないと、大きな渦に呑みこまれてしまいます。

 

 スロバキアのゲストカップルが二年前に着物体験に来た時、ちょうど東欧のある国の大統領が柴又を訪問するというので、私たちはお寺の中に入れず、遠回りして帰る時、参道のお店の方々がずらっと並んで日本の国旗とその大統領の国の国旗を持って待っているのを見て、ゲストのヤンは肩をすくめて「彼は良い人間ではないよ」と言ったのに驚きました。あとで調べたら、独裁政治を目指し、近隣の国にも良く思われていない人物で、特に今この非常事態では、そういうもろもろのことがきっかけで簡単に戦争になるということが分かってきています。知らないということは恐ろしいことで、おもてなしが仇になることもあるのかもしれないのでした。

 島国の日本は、国境がないから隣国が攻めてくることもないけれど、だから一層想像力を働かせて、色々な気配に敏感でいなければなりません。娘からラインが届き、「有馬に恋さん」を作った高木マレイさんは、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の映画も撮影し、ヒロインは国木田独歩のひ孫のハーフのモデルさんで、茶の色無地を着て、お茶を点てているシーンがあると教えてくれました。彼女へのインタビューも面白いのです。新しい世界を教えてくれる娘に心から感謝しています。