大江戸骨董市

 前に夫と有楽町に行った時、偶然「大江戸骨董市」という旗が沢山翻っているエリアがあって、ぐるぐる回ってみたのですがあまり興味がない夫は早く目的地へ行こうというので、そこそこで引き上げました。着物のお店、瀬戸物のお店、骨董品のお店が所狭しと並んでいて、着物を着ている人たちもたくさんいるので、いつかまた一人でゆっくり行って見たいと思い続けて居て、昨日の午後にでかけました。

 天気も良くなり、有楽町は沢山の人で賑わっています。コーヒーカップが欲しくて、英国っぽい素敵なカップが並んでいるお店の器を手に取って、裏返してみると6800円、12000円とあり、高い!手が出ないので、そっと元に戻しました。義母の台所には瀬戸物、漆器、コップ、グラスなどたくさんあるし、着物のお店にも帯締め200円、羽織1000円、着物2000円と並んでいるけれどこれも家にあるのでスルーしましたが、面白かったのが野良着のような襤褸がかなり高額で、以前テレビでイギリス人が襤褸を探しているのを見たことがあり、何が受けるのかよくわからないのですが、12000円とは凄いものです。あとは布の見本帳や能面など興味があって、ある店の奥にあるのを見つけたけれど、聞くのも憚られるほど高そうでそっと眺めていたら、隣のお店でスペイン語が聞こえるので行って見ると、外国人の女の子が二人羽織を選んでいて、お店のおじさまはスペイン語で三枚2千円でいいと言っているので凄いなあと感心してしまいました。私もスペイン語をおさらいしなくてはいけないと心に決めて帰ろうとした時、出口の近くのお店に白のモダンなルクセンブルクのコーヒーカップがあって、二つで3000円にまけてもらい、20年ヨーロッパにいたという店主の方とベルギーやルクセンブルクの話を少しして、みんなこういう会話が出来るのが楽しくてここに買いに来るのだと改めてわかりました。

 お店巡りをしているカジュアルな着物姿の女性や、爽やかな羽織袴の男性もいて皆さん素敵でしたが、ここにうちのゲストの女の子を連れてきたら目立つだろうとふと思いながら、でも私のやりたいことは着物を着て歩くだけでなく、”エアビーの体験”の四時間を物語としてゲストに提示することだと改めて感じました。各地から送られてきた思い入れのある着物や帯、小物を時間をかけて選び、着付けた後はティーセレモニーをして抹茶を味わい、そしてお寺へいき参道のお店の方々と会話した後参拝して、仏教彫刻を堪能し、英語のおみくじを引いてじっくり自分の運勢を読み、家に帰ってから、羽織などのおみやげを選んでもらうという日本の物語を作ってきて、どう感じてくれるか初めの頃はわからなかったけれど、ある時奥さんのお供でしぶしぶ来た感じの旦那さんが、思ったより面白かったと言ってくれたことは印象的でした。

 相変わらず目の状態は悪くて、細かい値段を見るのに苦労するし、陳列された物もよく見えないのだけれど、嗅覚や触覚を研ぎ澄まして掘り出し物を探して見ればいいし、視角に頼りすぎると意外と大事なことを見逃す気もしています。白内障が治ったら、いろいろな所がこんなに汚れていると気が付くと言われ、見えていた時より掃除をするようになったし、加齢を重ねていって衰えていくことをプラスと考えてそれを補える考え方をしていこうと、思えるようになりました。

 ルクセンブルクのコーヒーカップで、夫が半額セールで買って来たブール―マウンテンを飲んでみるのが楽しみです。