パーフェクトデイ 2023 4月17日

 世の中が物凄く変です。時空が歪んでいる気がします。悪いことをたくらむ人が平気で横行している、顔を作っても、甘い言葉を吐いても、顔が初めから違っている。

でも私はなぜか幸せです。美容院へ行って髪を切ってもらいながら、イギリスで修業したスピリチュアルな寛子さんにヘアスタイルをどんどん変えてもらって別人のようになりつつある私は、ラインのプロフィールを今回のヘアスタイルの写真に代えて見ました。

 いろいろなものがどんどん軽くなっていき、これから進むべき道をたくさんのゲストが指し示してくれる。知らなかった言葉、知らなかった国、知らなかった風景。どんどん引き出しが増えていきます。

二時間しか体験の時間が取れないけれど、若い姪を三人連れてこれからタクシーでうちに来るというゲストからの連絡をもらい、少し遅れてきたナイスバディの四人がタクシーから降りてきて、正直全部着付けて柴又へ行くのはかなり大変だから、今日はうちの周りで写真を撮るだけにしようと私は頑張りました。ハクビの先生をしていた方から素晴らしい振袖を三枚と袋帯もたくさんいただき、それを着てもらおうかと思ったのですが、長いことしまわれていたのでカビ臭がして、一人とりあえず着せたらくしゃみをし始めるのでこれは大変と、あとのお嬢さんはいつも使う赤の振袖、180㎝の18歳の女の子は赤の小紋をオハショリなしで着せ、最後に40代のふっくらした叔母様に何を着せようかと思ったら、何と振袖!と言われ、一番大きいのを着せてみんなで並ぶと素晴らしく豪華で、路地裏に咲いている様々な花をバックに写真を撮り、二階の畳の部屋でくつろいでからティーセレモニーをして、あっという間に2時間がたちました。おばさまはイギリスだけれど姪御さんたちはニュージーランドに住んでいて、教師や学生でわりとおとなしめの女の子たち、一番イケイケは叔母様のようです。帰りもタクシーを呼んできてもらったら、葛飾ナンバーのタクシーなのだけれどドライバーが外国人で、夫は感心して見送りました。

 あらかじめ送ってもらった写真のポージングも洋服も過激目だったので私は焦ったのですが、会って見たらおとなしくて品のいいお嬢さんたちで、ニュージーランドでのびのび育った感があり、一番とんでいるのが四十代で振袖を着た叔母様だったのかもしれません。

 美容院で髪を切ってもらっている時、美容師さんが「今も学歴って大事ですかね?」と聞いてきて、私は答えなかったけれどコロナ後たくさんの若者たち、特に一人旅の東南アジア系の男の子と話していると、母国でないところで育ち勉強し働こうとしている真面目な彼らはこれからの生き方を探している、私がこの仕事にかけて居る熱意はどこから来るものなのか、コロナウィルスが蔓延し、異常気候が続き、世界の各地で殺し合いが続くそんな恐ろしい現実の中で、受験勉強に励み大学に入って青春を謳歌しようなどという暇などない、老いも若きも同じレベルで自分の生き方を探さないと、私たちはすぐ奈落の底に落ちていきます。

 子どもたちにこうしろと諭したり教えたりすることはできないけれど、自分が何を大切にして何のために熱意を持って進んで行けるのかという道筋を見てもらうことは出来ます。役所広司さんがカンヌ国際映画祭で男優賞を受けた映画「パーフェクトデイ」の予告編を見ていて、渋谷のトイレ掃除の仕事をし、読書や植物を育てることが好きな初老の彼の顔が穏やかで前を向いていることにひどく魅かれます。

 アメリカ人の教師のアシュレイと着物を着て歌舞伎に行った時、彼女は歌舞伎座の中で前を歩く私が着物を自信を持ってきていることに感心したと言っていて、その時は私はその意味が解らなかったけれど、何十回と着物を着ていても、今までは背が高くて大きいことが引け目で背中が丸くなってしまいがちだった、けれど、私より大きいアシュレイの着物姿が綺麗で、それが誇らしくて、便乗して私も綺麗に見えると内心思っているからなのでした。外国人に着物を着せて、一緒に日本の文化を味わう。自分のうちを丸ごと使ってそれができる、

AIの知らない、私のパーフェクトデイです。