チリからの4人のゲスト2023年4月27日

 チリから、男性130㌔、女性110㌔の着物があるかどうかという問い合わせが入り、私は申し訳ないけれど無理ですと返事を送りました。でもそれからも何回もメールが入り、どうしてもこの体験をしたいので何とかならないだろうかというスペイン語の文章を翻訳機にかけながら、どうしようかと考え、浴衣ならなんとかなると返事をすると、とても喜んでくれました。他の二人の男性は普通サイズで、一応皆の写真を送ってもらい、シュミレーションをして、当日を迎えました。

 地理学者だというナタリアは黒ぶちの眼鏡をかけた真面目そうな女性で、ひで也工房のカラフルな大きい浴衣にギラヘコ帯を締め、弟のパブロ君にはやはりひで也工房の紫の浴衣を着せ、これは意外と伸びるのでお腹周りも大丈夫でした。あと二人は紬の単衣を着て、なかなかかっこいいのです。電車に乗って柴又へ行き、お寺の庭園でたくさん写真を撮り、アイスクリームを食べ、門前のお店で足袋や達磨などお土産を買い、帰ってティーセレモニーをして、お土産に道行を選んで、無事終了。最後にパブロ君が「自分達のような体型では着物を着るのは難しいと承知しているけれど、念願の体験が出来て本当にありがたいと感謝してくれました。

 BGMでアドの曲をかけていたら、アニメのワンピースの中の歌をパブロが口ずさんでいて、遠いチリでも日本のアニメは有名なんだと驚いたのですが、真面目な四人は本当に真面目にこの体験を喜んでくれて、チリに来て下さいとチリの国土のマグネットをお礼にプレゼントしてくれました。英語が話せる男性とは仲良くなり、冗談を言いながら自撮りしている姿を見ていて、義父がよく言っていた「大きい人間は良い品質のものを着ないとだめだ」という言葉を思い出し、正直4万円の浴衣に頂き物の素晴らしい紬の単衣を着た四人は、何処に出しても恥ずかしくないクオリティなのです。

 帝釈様の庭園の回廊で、日差しを浴びて嬉々として写真を撮っていた彼らは、控えめだけれど温かかった…遠いチリでこの体験をしたいと必死に思っていてくれたのでした。相手のすべてを感じながらひたすら想像し、相手に尽くすこと。努力は自分のためではない時に正解になるのかもしれません。

 翌日は富士山に行ったそうで、その写真をナターシャが送ってくれました。皆楽しそうでした。