屈託のない笑顔 2023年5月13日

 去年は五月でもとても暑く、三人で予約してきたアジア系の女の子たちは暑い暑いと連発しています。24歳のマヤちゃんは小柄で大人物の浴衣はサイズが合わず、ずいぶん前に戴いた十代の女の子用の浴衣を羽織ったらぴったりで、柴又の参道を歩いていると、お店の方から孫を連れて歩いているみたいとからかわれてしまいました。整骨院をしていた頃の患者さんが、両親が亡くなって着物がたくさんあるのだけれど、おばあちゃまが絶対に売り飛ばすなと言っていたそうで、困った息子さんが車にたくさん積んで持ってきて下さり、申し訳ないとお菓子まで添えてきたのには恐縮してしまいました。代金を払わなければならないのはこちらなのにと思って沢山のたとう紙を開け、整理していると、子供の浴衣がたくさん入った箱がありました。お孫さんの成長に合わせておばあちゃまが作ったらしく、様々なサイズの素敵なのですが、昔のものなので布地が厚くて今の気候には不向きです。

 

 私も反物を買って娘の浴衣を縫ったことがあるけれど、ゲストの子供に着せることは無くて、メルカリで見つけるキティちゃんの浴衣などがとても好まれるのです。マヤちゃんは自分の着た浴衣がとても気に入って、持って帰りたいというのでプレゼントしたのだけれど、ずっとこのまま小柄でいるなら何回も着ることが出来るなと私は思いながら、会ったこともないおばあちゃまが孫の成長を楽しみにしながら縫い続けた浴衣を、遠い国の女の子が大事にしてくれるという不思議さに胸がいっぱいになるのです。私の仕事は着物の縁を結ぶこと、いろいろな糸がつながっていきます。