マインドセットを変えよ

 捏造記事が満載された週刊誌の見出しを食い入るように見ている夫の姿が嫌で、経済新聞だけを購読するようになってから、私が切り抜いて読み返す記事が増えています。DX(デジタルトランスインフォメーション)について、経済産業省の室長さんと民間の社長さんの取り組みの記事が載っていました。DXはデジタル技術やデータを駆使して作業の一部にとどまらず社会や暮らし全体がより便利になる用大胆に変革していく取り組みをさします。解説を読もうとサイトを探すと面倒くさい言葉や言い回しが多く、よくわかりません。新聞の経済産業省の室長さんの言い回しがとても具体的でわかりやすいので驚くのですが、DXは単なる技術導入のプロジェクトではなく、経営戦略の確立という会社レベルの問題だそうです。DXの推進には経営、事業、技術の連携が重要で、なかでもゴールまで連れて行く人が必要だけれど、経営者の方々はデジタルが100年に一度の大改革だと認識しているのに、何かいい先行事例はないかと聞いてくる。先行事例を収集するリーダーに、DX人材としての資質はない、社会変革期に立ち向かう経営者は、走りながら考えるしかない、だからまず正しい方向に向かって走り出せというのです。

 デジタル人材は、異分野、異文化を横断する人材だから、技術だけ優れていてもだめで、例えば通訳だったら語学力はあっても歴史や文化を学ぼうとしないなら口数は多くても何を言いたいのかわからなくなってくるのです。お彼岸にお墓参りに行き、帰りに久しぶりにファミリーレストランのジョナサンに入って朝食メニューを頼んだら、軽快な音楽と共に配膳ロボットが運んできたのには驚きました。飲み物はドリンクバーから持ってきて、あまりおいしくないトーストやパンケーキを食べながら、そこでは人が手間ひまかけて作り出す愛情が全くないと感じていました。人件費など考えると格段にこのシステムは有効でしょう、でもふと、私のうちの簡単な茶道体験で、ゲスト達が一生懸命抹茶を点ててくれ、それをいただく時の嬉しさを思い出しました。初めての経験で、なかなかうまくいかず緊張して私が飲むのを心配そうに見ているゲストの顔、私が飲んで「美味しい」と行った時の嬉しそうな顔、一期一会のパフォーマンスの中には、日本の温かい文化が潜んでいるのです。それは何にも代えがたい温かさがあります。この二度とないひとときに、私はあなたのためにお茶を点てる、ただそれだけのことがどんなに互いの精神にとって大事か。私は参道や庭園や彫刻版の前で、その時その時の私の気持ちを語る。それからどんな風に発展するのか、それはいつも違うのです。マインドセットとは個人が持つ考え方や思考であり、私達の意識と鼓動を支配しています。そしてそれはみんな違うのです。

 これからのビジネスは過去の延長上にはない。抽象的思考、アイディアを尊重すことを意識しなければいけません。三月後半は毎日本当に忙しかったけれど、四月は今のところ予約は2件だけです。体験のマインドセットを変えていこうと思っています。