Top notch

 まだ桜のつぼみは膨らんで居ないのだけれど、いま柴又にはたくさんの外国人が訪れています。昨日は水曜日でそんなに混んでいないだろうし、二日間続いた雨も上がっていい天気だし、これで桜が咲いていれば最高だなと思いながら、追加で直前に予約してきたインドのゲストと、オーストラリアのカップルとマイアミの女の子と四人を迎えるため支度をしていました。マイアミのアマカの身長が6フィートとあって、何センチかとスマホで調べたら180㎝で、全く予期していなかった私は混乱しました。前にハワイと日本のハーフの恵ちゃんがリトアニア出身の2m近くある旦那さんと来たけれど、彼女も180㎝で、普通サイズの黄色い訪問着をおはしょりなしで着せたことを思い出し、何とかなるかなと気を静めて外を見ると、自動販売機で飲み物を買おうとしている外国人のカップルが目に入りました。

 15分前だけれど多分ゲストだろうと声を掛け、駅でテイクアウトの寿司を買ってきたというので、入ってもらいお茶や団子をだすと、朝食は団子だったと言われ、笑ってしまいました。真面目そうな澄んだ目のイケメンの旦那さんは会計士、五つ下の眼鏡美人の奥様は栄養士、大学時代に知り合ったそうですが、オーストラリアの英語は私にとって聞き取りにくく、苦戦しました。それにしてもこういう感じの夫婦はこれまで何人も来ていて、トルコのカップル、ニューヨークのカップル、ドイツのカップルと、真面目で静かな旦那さんと活発な奥さんというパターンはとても多いのです。時々旦那さんが何か言いたげに傍に来るのだけれど、言葉がなかなかわからず、それでも何か言いたいことがあるということはわかるのです。

 紫の振袖を選んだ奥さんのエイミーが旦那さんのギャビンと帯を選んでい入る時に、180㎝ドレッドヘアのアマカが自撮り棒を持って登場、四十代の彼女も黒振袖を選び、最後に現れたインドの女の子は青い付け下げを着て、ヘアに苦戦するのをアマカが助けてあげていました。今回は四人がいろいろな組み合わせになりながら話し込んでくれるので、私はとても助かり、特にインドの彼女は話好きで彫刻を見ながら仏教の歴史を年号入りで教えてくれるので、さすが数字に強いインド人だと感心しました。個性の強い三人の女性とおとなしいギャビンはたくさん写真を撮り、沢山の人に「綺麗!」と言われ、うちに帰るのは遅くなったのだけれども、途中で買ったべったら漬けをつまみに「沢の鶴」を飲み、抹茶を飲んで終了、今日は随分夫に助けられました。

 最後に帰ったアマカがすぐレビューを書いてくれて、「期待していたよりも良かった。この体験は”Top notch"と書いてあり、初見の単語なので調べて見ると”最高!” 」とあるので、こんな言い回しもあるのかと感心し、夫と二人で今度ゲストが来たら使おうと話しています。外国人との触れ合いの中から、私は本当に多くの事を学んでいます。わからない、聞き取れない、思ったことが話せない、三重苦の中で、めげることが度々で、私は何もゲストに与えるものが無かったと悲しくなる日々も多いけれど、でも最高級の着物を着せることはでき、そこだけは誇れるのです。

 エドワードホッパーの好きな女の子に私のブログを英訳して送ったら、よく理解できると返事があり、ニューヨークには彼の美術館があるから見に来たらいい、泊まるところは用意されて居るからと書いてありました。良かった、解かってもらえた、嬉しい限りです。