台湾の孫     2024年1月

 詐欺事件で頭がまだ混乱しているところに、カリフォルニアに住んでいる台湾人の27歳の男の子がゲストとしてやってきました。電車の中で寝過ごし、15分遅刻して急いでやって来た、眼鏡をかけた真面目そうな彼は、日本語を少し話し、一生懸命謝っています。前に来た日本人とフィリピン人のハーフの女の子の紹介でここまで来たそうで、日本は三回目、お姉さん夫婦と一週間滞在して明日帰国予定、昨日は富士山観光で河口湖をサイクリングして、とても寒かったと言います。男の子だから着替えも早いし、シャイで写真を撮られるのは好きでないし、仕事はしていなくて、漫画やジブリが好き、でも空手を6年習っているので、身体は絞れています。

台湾に住むおばあちゃんが日本びいきのようで、礼儀正しく話好きですが、二階を案内し柴又へ行って庭園や仏教彫刻を見せても、そんなに興味はない様で、庭園も鯉も褐色系で色鮮やかでないと言っています。今予約が入らないのも、冬枯れで風景があまりきれいでないこともあるのかもしれないと気がついた私は、とても寒いし、着物を着て外に出るのも大変だと考え込んでしまいます。今日は天気が急変すると言っていたけれど、外へ出ると意外と温かく、明日帰るというのでお土産も考えながら、漬物好きなお母さんのためにお店で試食してもらいました。どら焼きは好きだけれど団子はダメ、でも駄菓子屋さんでは可愛いお菓子やマグポットを購入、なんだか女子っぽい男の子です。

帰りの電車に乗ったら突然強く雨が降り出し、コンビニで傘を一本買って彼の腕につかまりながら帰る時に、これは完全に孫とおばあちゃんだなとなんだかおかしくなってしまいました。急いで帰って、ティーセレモニーをして、プレゼントに羽織を選んで4時半に終了、さすがに疲れたと言って玄関を出ようとするので呼び止めてガッツリハグすると、しっかり抱き着いてきて、ああ孫だと思いながら別れました。男の子だから洗濯も足袋だけだし、楽だけれどやはり私も疲れ、寒いのでカップラーメンを食べてすぐ布団に潜り込んでいると、七時ごろレビューが来て、おばあちゃんといろいろ歩き回った感覚だったとありました。

彼は若い男の子としては特殊なパターンでしょう。私のところに来るには変わった子が多いのは自覚しているけれど、外国人で言葉が通じにくいので、沢山話されるとわからず聞き流すだけになる、そして勝手にこちらも言いたい事を言うのは年寄りのパターンです。夫が詐欺にあったことをアシュレイに知らせて、貪瞋痴にまみれていることを嘆くと、ニュアンスの違う返事が返ってきたけれど、それはとても興味深いものでした。夫の詐欺事件以来、世の中はお金欲しさに簡単にできる悪事がたくさんあることがわかり、人を傷つけることが利益になるから、戦争や犯罪が起こり、それすら罰せられない、国のトップが相手を攻撃しろというのだからもう救いようがなく、そして静かに天の罰が下されて行きます。途轍もない暗闇の中にいるのに、それが認識できない。詐欺に引っかかった夫と私は愚かだったけれど、こうやって人をだまし悪事に走る人間は、やがて滅びてしまうということがわからないのでしょうか。

自分がこせこせと悪事を働いていると、天はその何倍もの罰を与えるのです。

 

ノアの箱舟。魂を削っても崇高な命の存在を記すこと、苦しんでいるひと、未だに冷たい雪の下、瓦礫の下に埋まっている人々の魂を、天に送り届ける崇高さと優しさを表し続けること。そのための歩みを止めないかぎり、明日はやって来る。明日があるかわからないけれど、今を全身全霊で向かって、自らの命を懸けて生きることの大切さ。でもワールドニュースでは悪化し続ける中東紛争が報じられ、いかにどこの国の兵器でどれだけ爆撃できたかと声高らかにアピールするトップのコメントが映し出されます。国が違う、民族が違う、思考が違う、宗教が違うということは、とても重要だと私は強く感じています。